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ちょっと話したい事あるんだけど。会わない?






青子先輩からのメールはそっけないものだった





「ここのケーキおいしいんだよね」

『はぁ』

そうですか

と、相槌をうったがここは柳さんのバイト先で何度も来たことあるんですよ

とはさすがに言える雰囲気ではなかったので見慣れたメニュー表をあたかも今初めて見たかのように少し悩みながら注文した

ちょっと焼けたような綺麗な髪の毛をいつも通りにおろし、久しぶりの私服姿に『やっぱり美人だな』なんて思う

「最近こうやってゆっくり話してなかったね」

『そうですね…やっぱり学年が違うといろいろあわないですし』

「快斗とはうまくいってるの?」

『…』

やっぱりそういう話か

『まぁ普通です』

「ひかりちゃんって前と雰囲気変わったよね。あんなに元気な女の子だったのに、今はとっても静かでクール。青子憧れちゃう」

ハハ、それはテンションというものがありましてあのころはこの世界にこれてはしゃいでただけなんですよね。

「快斗がすきーだとか嫌いだとか、結局どっちなの?」

『好きです』

「そっか…そうだよね。嫌いだって言ってた時も青子知ってたんだよ。ひかりちゃんがホントは快斗の事すきなんだって」

『……そうですか』

「青子…ひかりちゃんには気持ち的に…勝ってるって思ったんだけどな…。ずっと一緒にいたし、向こうにも好かれてるんじゃないかって。自惚れてたかな」

『きっと快斗先輩は青子先輩の事が好きだったんですよ。自分では気づかない恋心って奴です。』

「…でも、じゃあなんで青子の事選んでくれなかったの?」

あぁ泣きそうに微笑んでるのを見ると罪悪感が溢れてくる

『なん、でって』

私が奪ったから

その言葉しか浮かばなかった

心臓の鼓動が早くなる

奪った?私が奪ったから?

口が乾いて喋りにくい

奪ったから?奪ったから?

頭の中はそれで一杯になった

「お待たせいたしました…ケーキセットです」

「あ、ありがとうございます…ひかりちゃん?」

『あぁありがとうございます柳さん』

「え?知り合い?」

『え、あぁえ、えーっと瑠璃の彼氏さんなんです』

思わず嘘をついてしまおうかと思ったけど、頭より口が先に動いてしまった

「じゃあもしかしてこのお店知ってたの?」

『そ、そうですね…実は』

「そうだったんだーなんか青子恥ずかしいな」

『……』

あんなに好きな漫画のキャラクターだった青子先輩に対して今は何故か苛立ちともどかしさだけが生まれている

私…やっぱり人間なんだな

「ねぇ青子、快斗の事まだ好きでいてもいいのかな?」

先輩は私に何と言って欲しいのだろうか

諦めさせて欲しいのか、それともまだ希望を探しているのだろうか

「え、青子俺のこと好きだったの」

『!?』

「え」

これでもかって位目が開いた

「何?俺モテ期?w」

この空気の読めない先輩の後ろに手を合わせて誤ってるポーズをとっている少女が見えた

あぁそういうことか、柳さんに呼ばれた瑠璃が次に快斗先輩を呼んだということだね

『…』

「かいと…」

『…あ、あの』

「バカ!!」

休日の長閑な喫茶店に修羅場の音が鳴り響き、叩いた女性は一瞬腰を引き、何も持たずドアの鐘を鳴らした

「え、俺何かした?」

『快斗先輩追いかけて!』

「なんで俺なんだよ」

『いいから!!』

青子先輩の鞄を渡し蹴り飛ばした

「な『いいから!何度も言わせるな』はい」

静かになった喫茶店を一度振り返りお辞儀をして元居た席へと座った

『はぁ』

やっと紅茶が飲める

周囲の目線が私からまだ離れない

落ち着かない

「ねぇ黒羽先輩行かせて良かったの?」

『…いいんじゃない。青子先輩に…』

快斗先輩を諦めてもらうにはこれで良かった

『私がこの世界に来なかったら全てがうまくいってたんだ』

「え?どうゆうこと?」

『そーゆうこと』



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