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こしのやつ俺の存在に気付いてないな
『で、これがこうなって…(こっちの私が頭よかったからいいけど、普通ならわからねぇし)』
どうやらあいつは楽しそうじゃないらしい、いつもの笑顔がないからな
「へへーん、ざまーみろ」
そう言ってみると男の方は俺の存在に気付いていたらしく、にたりと笑ってこしの頭を撫でた
「!?」
なんだあいつ!馴れ馴れしいだろ
『何、いきなり』
「いや、ひかりちゃんの髪ってさらさらだからつい触っちゃった」
『へー』
おいそこは『触るんじゃねーよカスが!』って回し蹴りだろうが!
「ずっと触りたいな」
『別に触る価値の無い髪だと思うが…って、あれ?』
「おーし、そこまでだ」
『あれ、この匂いは!』
俺の手でこしの目を隠し自分に引き寄せる
「これ以上こしに手を出すんじゃねぇぞ」
「何故ですか?黒羽先輩とひかりちゃんはそのような関係なんですか?」
ニコニコ笑う男に俺も無理に笑い睨み付ける
「こしは俺の事が好きなんだ。なぁこし?」
『はい!勿論です!!自分の好物は快斗先輩ただ一人です!!』
「ほらな、お前の入る隙はねーんだよ」
「なら黒羽先輩はひかりちゃんの事を好きなんですか?」
なんだなんだとどんどん野次馬が集まってくる
一年生教室前だが移動教室やらなんやらで二年生の姿もちらほらある
「俺がひかりの事を?」
「そうですよ。ひかりちゃんが黒羽先輩の事を好きなのは知ってます。先輩もひかりちゃんに好意を持たれてる事は知ってるでしょう。…なら先輩はどうなんですか」
『…………』
「俺は……」
野次馬の中に青子の姿を発見した
「俺は………」
『快斗先輩…答えなくていいですよ』
「…」
俺の手をすり抜け目をぱちぱちと瞬きするこし
『私が快斗先輩の事を好きって知ってれば満足です!だから…別に快斗先輩が私の事を好きにならなくていいんです』
「ちがう、俺は…」
俺はなんだ?何を言えばいいんだ?
『ほら、鐘がなりますよ。私はもう教室に帰ります…では』
ひかりは笑顔で教室の中に入っていった
「か、快斗どうしたの!」
「青子…」
「じゃあ僕も教室に戻ります。…ちゃんと考えてくださいよ」
(びっくりしちゃった!騒ぎの中心に快斗がいるんだもん)
(あいつ…無理して笑いやがった)
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