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「最近成績が落ちてきてるぞ…夏休みだからって手を抜いたんじゃないのか?」
『はい、失礼します』
エアコンがガンガン効いた職員室から、私はため息を吐いて出ていった
しょうがないじゃん
頭が良かったっていってももう一人の記憶が私の中にあるだけで、勉強してない自分が成績をキープ出来るわけがない
「ひかりーなんの話だったの」
『あ、ごめんね瑠璃、鞄持たせちゃって。最近ね、成績落ちてるから頑張れ的な事を言われたの』
「成績落ちたの?私から見たら上出来だけど」
『勉強やってないからねぇー授業真面目にきこ』
「まじめじゃなかったんだ」
『寝てた』
大体寝てる。当てられても問題を見ればパッと解けたし、別に勉強しなくてもやっていけたし
『はぁ、この子供な脳ミソを早く大人に成長させたい』
「あ。あれ黒羽先輩じゃない?…一緒に要るのって」
『まあき…』
何やら言い争ってる雰囲気だ
関わらない方がいいだろう
『迂回しよう』
「何言ってるの!彼女でしょ。ビシッとしなさい」
そうバシバシと背中を押され、彼らに近づくといい顔とやな顔の二つがこっちを見た
『いやぁこんにちは』
「何、私は快斗と話してるんだから邪魔しないで」
「まぁそうカッカしないでよまあきちゃん」
「俺ひかりと付き合ってるから」
「は?」
長い沈黙でした
「い、意味分かんないですけど、誰と誰が付き合ってるって?」
「俺とひかり」
「嘘でしょ…いつよ、いつから」
「祭りの日から」
「……酷い…、浮気よ。わかってんの」
「最初っから付き合ってねぇって」
「私の事好きだって言ってくれたのに」
『なに!?』
それは初耳だぞ
「は?俺がいつ……あ」
こいつ、今心当たりがあるって顔を
「まじですか黒羽先輩」
「あれはな……」
私の顔色を伺うようにこちらを見てるが、私はとりあえず無表情で見返した
「はぁー。確かに好きって言ってしまったな。心にもねぇことを」
「な、何!?心にも無いって」
「ひかりと喧嘩中だったろあの頃…それで、心にもねぇことを言ったわけで、本気だったわけじゃねぇ」
『さいてー』
「さいてー」
「な、なんだよお前ら薄情もの」
今だけはまあきに同情するわ
「そっか……まぁ別にいいけど、別に私だって快斗の事本気じゃ無かったし」
「へ、そうだったのか」
何ちょっと残念そうな顔をしてるんですか
「ハハっバカみたい。好きな人取られたからってあんたの好きな人も取っちゃおうなんて」
「ねぇまあきちゃん。もしかしてひかりと友達になりたかったんじゃないの?」
「へ」
『え』
瑠璃の恐る恐る発した言葉が的を射ぬいたように、まあきは肩を揺らす
「そんなわけ…ないじゃん」
『そ、そうだよ…だって私たち幼馴染みで小さい頃からハッ』
思わず口をふさいだ
「幼馴染み?」
『忘れて!』
そうだ、これは向こうの世界の事で、この世界では私とまあきは最近出会ったと言う設定だった
「言うけど、私はひかりを恨んでるんだからね!」
『…それはわかってるよ』
「だから別に友達になりたくもないし、…バカ!瑠璃ちゃんのばか!」
「え!私」
「バカアアアア」
そういってまあきは走って逃げていった
「なんだったんだ」
『……まあき』
私はもしかしたら何か大きな間違いをしているのかしれない、そう思った
「まあきちゃんにバカって言われた…」
「はぁーそれにしても助かったぜ」
『一難さってまた一難。私たちが喧嘩してる間にあったことすべて話してもらいましょうか』
「じゃあ多紀のお店いこっか」
『さあ逝きますよ』
「ヒィ」
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