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カラン、カランと人通りの少ないコンクリートの道を下駄の音を転がしながら歩いた


数歩先を歩いている先輩の後ろをなだめながら、先程まで一緒にいた彼のことを思い出す


今更だけど、高校で出会う前からどこかでであっていたような

幼稚園だろうか?それとも入れ替わったもう一人の私がどこかで会っていたか

ダメだ。思い出せない

向こうの世界で誰と仲が良くて、何をしていたか

『はぁ』

「ついたぜ」

普段なれないせいか、足が痛いと思いだした時に先輩が私に向かって手を招いていた

「入れよ」

今更帰るわけにもいかないので、とりあえずお辞儀をして中に入れさせてもらった

『……そういえば母親は海外旅行ですっけ』

「そんなことまで知ってんだな」

『あ…』

またいらんことを言ってしまった

クーラーを付ける音と、今まで開けていたであろう小さな小窓を占める音が重なった

「まぁ座れ」

『はい』

ええっと…今黒羽…快斗先輩の家にお邪魔になってるわけですが

「……」

『……』

気まずいです

『…』

とりあえず私は気持ちを伝えた…で、ホントに今の時間がなんの時間なんですか?

「俺って…向こうの世界で人気あったのか?」

『へ』

えっと人気があったって…えーと

『まぁ国民的に知られてる漫画やアニメでしたから。知名度はあったと思いますよ』

まっ私の周りには二次元に恋する人なんていなかったんですけど

『で、それがどうかしたんですか』

「じゃあ俺が何者かってのも知ってんだよな」

『多分前もそんな雰囲気になったと思うんですけど、…』

正直に正面向いて、口に出していいのだろうかと一瞬だけ戸惑ったがもう隠しても仕方ない

『はぁ…知ってます、父親が怪盗キッドでそれを継いだのが快斗先輩。青子先輩と快斗先輩の関係も、デートでアイスを食べた事も』

「……別にあれはデートじゃねぇって」

『はいはい、中森警部のこともあと、あのコナン君の事も…まぁ最近物忘れなのか向こうの記憶も少しずつ削られて言って内容はほとんどおぼえてませんけど』

「忘れてしまえばいいのにな」

『それはどんな意味が込められてるんですか』

「どんなもんだと思う?」

さっきまでベッドで横になっていた先輩が、あぐらをかいてこちらをじっと見ていた

視線を感じると思った

『でもこの世界が漫画の世界で先輩がキッドだってことはきっと忘れることはできないと、思います』

というか脳に焼き付かれていて忘れたくても忘れられない

「に、しても不思議だなー、世の中そんな不思議な事が起こるもんなんだな」

『この世界に居たら向こうの世界じゃ常識じゃないことも、普通に感じます』

紅子先輩魔女だし

「ふーん」

そう言うと先輩はまたベッドへ横になった




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