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『好きです快斗先輩』
あっさりと言葉が出たあとに、喉や唇が渇いた
お面は先輩の方へと向いているが私は目を瞑っていた
先輩の今の表情を見たくない
もしも、嫌そうな顔してたらどうしよう
あんだけ避けてきたんだからもう嫌われてもしょうがない
でも、でも、今の気持ちを最後まで言いたい
だから目を瞑っている
『さ、最初は漫画のキャラとして好きでした。勝手に自分の好みに会うようにイメージを膨らませてました!!
その思いが強かったからか私は、こっちの世界にいた私と入れ替わって、そこで先輩と出会い、さらに好きになってしまいました
でもそれまではイメージのあなたが好きで、出会うまでのあなたが好きで
会ってから会話をする度に、違う好きが、私の中で芽生えてきました』
今私の精一杯の言葉をぶつけている
シナリオなんてない、私の気持ちだ
『記憶が一度無くなったときもありました
なぜだか今でもわかりませんが…私が思うに前までの先輩が好きだったときの気持ちをリセットして、もう一度ちゃんとした恋をさせてくれたように思えます
嫌いだって言ったときも……嫌いだって言ったときも…うぅ…嫌いだって…』
涙が溢れてくる
「っ」
ぎゅっ
『ホン、トは、だいす、きで…』
急に抱き締められたが、もう何がなんだかわからず喋り続けた
『何度も諦めようとし、ぢだ、げど…
やっぱり先輩が大好きで
彼氏ができればって思ったのに、先輩が、さらに、わすれられ、なくて
まあ、きが現れて…もう自分がじぶんで、いられなく、て……だからだから』
「わかった、わかったから」
『せんぱい…私のこと、嫌いにならないで、ください…ほんきで、すきなんです』
「あぁ俺も」
「快斗ー?快斗ー?どこいっちゃったのー?」
『「!?」』
「もう足痛いー!ばかー!どこいっちゃったのよ!!」
黒田まあき!?
「あ!そうだ携帯で、電話してみよ」
って今の状況なに!?先輩に押し倒されてるうわあああああああ!!!
「黒羽快斗…黒羽快斗っと」
「(げ、やべぇこの状況で携帯なると)」
ぴりりドッカーン!!
『!!』
「あーあ花火始まっちゃった!電話の音聞こえないー」
しょうがない、とまあきは草むらの影にいる私たちには気づかずに去っていった
「行ったか…」
『行きましたかね…』
「………」
『………』
「わりぃ重いよな」
『いえ、このままでも…いいです』
「!?な、なに言ってんだ!」
『わ、私だって恥ずかしいですよ』
まだこの暗闇で、しかもお面をつけておいて良かった
良かった…
ヒュードッカーン!!
『……』
お面取れてるしめっさ先輩の顔見えてるー!!
ドンドンドンドッカーン!!
しかも連続
「……涙で目赤くなってやんの」
『ひ、ひい、やだぁ見ないで』
「もうおせーよ。お前の肌に触れときたい」
『ひぃ』
「って言っても重いだろうから場所チェンジな」
『え、』
そう言われるとひょぃーっと軽く持ち上げられ体位交換となった
『せせせんぱい!蚊が来ますよ』
「じゃあうち来るか?」
『ひぃ、私をどうしようと』
「あーもう、黙って俺の心臓の音でも聞いとけって」
『………』
「(あ、大人しくなったと思ったらホントに聞いてやがる)」
『先輩、好きです』
「…あぁ」
『あ、今心音早くなった』
「ば、ばーか、気のせいだよ」
『あ、また』
ドクンドクント耳に入ってくる音が、気持ちを和らげてくれる
「お前とはもう少し色々はなしてーな」
『そうですね』
「と、言うわけで家に来い」
『はい………ってえぇ!?』
「よーしじゃあ今から行くぜ」
『いや、ちょっと、待ってください!いやあのですね』
「大丈夫だって、何もしねーから」
『そう言う問題じゃ無くてですね』
「はやくしねーと黒田に見つかるぞ」
『……はい』
黒田…前までまあきって呼んでたのに
『行きます』
(もう!見つからないわね!!)
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