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「どうしたのひかりちゃん!その唇」
『転んで噛んだ』
「痛そうだけど、あぁーほらティッシュ」
『ん、どうも』
放課後の帰り道、いつものように彼と下校していた
『ねぇ私達、付き合ってるのかな?』
「え、付き合ってるんじゃないの?」
『やっぱそうだったんだ』
「アハハ、まぁちゃんとした告白してないしね。よーし。」
そう言うと2、3歩私の前を行って振り返った
「昔から好きでした。付き合ってください」
『!?』
ニコーっと笑顔で、しかし真剣な眼差しで見てきて変な汗が背中を伝う
周りからの視線も突き刺さる
「……」
『……』
「あれ?」
『……』
やばい、自分照れてる?
「もしかして…照れてるの?」
ギック
「アハ、やばいその顔。すげー好き」
『バカ野郎…別に照れてないって』
「で、どうなの返事」
『…こんなとき、どんな返事すればいいのかわかんない』
確かに照れはしたし、嬉しかった
でも人間として好きと言う感情だけで付き合って良いのだろうか
「まぁ返事はいつでもいいよ」
『うん…』
「良い!まさに青春ね!」
『「!?」』
「青子そんな青春したいわ!!」
後ろを振り向かなくてもヒントを与えすぎな台詞と可愛らしい声
「それじゃあ僕と青春を謳歌するというのはどうですか」
「うーんとねぇ白馬くん。それは良いかな」
『お久しぶりです先輩達』
ホント久しぶり過ぎてどんな設定だったか忘れましたよ
「で、ひかりちゃん!ちょっとこっち来て」
『へ』
ちょっと強気な青子先輩に手を引っ張られたちょっと痛い
「なんでさっきの告白に返事しないの!」
『え、だって』
「だってじゃないでしょ!可愛そうじゃない。好きなの嫌いなのはっきりしなさい」
『好きですけど…』
「じゃあそう言いなさい!」
えぇーってまた引きずられながら彼と面と向き合わせられた
な、何を言えばいいんですか
ぱんっと叩かれた背中が薄手の制服のせいでいつもよりいたく感じた
『えぇっと、』
「?」
『(何を言えば)』
「ひかりちゃんがね。あなたの事好きだけど私なんかで良いのかなって言ってたの」
『!?』
「え!」
「だから貴方はそんなひかりちゃんでも受け止めてくれるのよ?」
『な、』
「勿論だよ!私なんかじゃなくてひかりちゃんが良いんだよ!」
「じゃあこれでカップル成立ね!」
『え!?』
「ね?ひかりちゃん」
『………』
あ、青子先輩の作戦が見えた
そうか、先輩
私が邪魔なんだ
黒羽快斗を取り戻したいんですよね青子先輩
『よろしく…お願いします』
右目からだけ涙が出そうになった
笑顔の彼と青子先輩、その後ろに何故か悲しそうな白馬先輩の横顔が見えた
「じゃあねひかりちゃん達」
涙を堪えて先輩方を見送った
今日は早く帰ってそれから泣こう
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