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純日本人である私の容姿は、日本人をそのまま絵に描いたような黒髪黒目である。外国人の人はそんな日本女性を大和撫子なんて呼んでる人もいるみたいだけど、大和撫子っていうのはもっとお淑やかで可憐で、綺麗な人のこというものであって、私は決してそんなものではない。髪だってボサボサだし、顔だってボロボロで歪んでる。そんな自分の顔が嫌で前髪を伸ばしていたけど、この世界じゃそんなことも言ってられない。前髪が長いと視界が狭くなって、戦闘もロクに出来やしない。そんなことになったら、みんなに迷惑がかかってしまう。ただでさえ魔物のいる世界に慣れていないというのに、これ以上面倒を増やしたくない。それにしても、本当にこの世界の人たちは私の世界では考えられないほど派手な容姿の人ばかりだなぁ。髪の色的にはロイドやコレット、しいなぐらいだったら普通にいたかもしれないけど、さすがにゼロスとかプレセア、リーガルのレベルまでいくとお目にかかれない。最初はみんな地毛じゃないと思ってたけど、この世界は本当に私の想定を遥かに超えていて、みんなこの姿が本来のままなのだそう。…ありえない。旅をしているみんながみんなイケメンで美人で可愛いこの集団がありえない。そしてその集団の一員として今旅をしている私もありえない。人生何が起こるのか本当に分からない。

「ナマエがまた一人でブツブツ言ってる…」
「前に聞いたときは独り言だから気にするなって言ってたぞ」
「ロイドさん…それは直球すぎます」
「プレセアの言う通りだよロイド! 本当にデリカシーがないんだから!」
「でりかしー…ってなんだ?」
「でも、なんだか心配だね。ナマエがああいう時って何か悩んでる時でしょ?」
「それは違うわ、コレット。ナマエのことだからそんなに難しいことは考えてないわ。きっとくだらないことよ」
「うほぉー…リフィル様容赦ねぇー…でもそんなところが素敵だ!」
「考えていることはともかく…声をかけなくていいのか? いつまでもああしていると戦闘になったら危険だぞ」
「リーガルは心配性だねぇ。ナマエはあの状態でも戦闘になったらちゃんと戦えるさ。もう何度も見てるだろ?」
「うむ…やはりどう考えてもそれだけは不思議なものだな…」
「あっ…クラトスさんが行きました」
「相変わらず変なところで度胸あるよなぁ、あいつ」

みんなのキラキラしている髪の色が本当に羨ましいという話をし始めてると、いつもみんな呆れたような顔をする。まったく失礼だと思う。特にゼロスなんてあの目立ってしょうがない赤髪を持ち前の整った顔と紳士的(?)な仕草でものにしているのだ。…というか、逆にゼロスのあの正確をそのまま色にしたように見える。私も染めれば明るくなれるのかなっという話をすれば、全力で止められた。私から見てみんなの髪が綺麗に見えるように、私の髪も綺麗なのだと。…でも黒髪なんて、暗いイメージで第一印象も…

「また何をブツブツ言っているのだ」
「うわっクラトス。びっくりした」
「お前がその調子のせいで、メンバーの空気も乱れている。いい加減にその癖をなんとかしろ」
「えー? これ癖って言わないよ。クラトスだっていっつも無言でなんか難しい顔してるし」
「お前のと一緒にするな」
「あーーもう天使様は相変わらずレディの扱いがなってないなぁ、まったく!」
「あっ! おいこらゼロス! お前が行くと話がややこしくなるだろ! 戻ってこい!」
「言われてるよ、ゼロス」
「俺様泣いていい?」
「も〜ロイドまで行ってどうするんだよ〜!」
「結局みんなで行くことになるのね…」
「…あれ、私ってそんなに独り言多かった?」
「今日のは特に多かったです」
「ナマエ、大丈夫? 何か悩み事があったら私に言ってね! 力になるから!」
「(コレットマジ天使…)ううん。そういうのじゃないから、大丈夫だよ。ありがとう」
「考え事もほどほどにな。こちらも気が気じゃない」
「リーガルはずっとこの調子さ。そのうち心配で過労死するよ」
「有り得そうで怖いのでほどほどにします」

本当に色とりどりの仲間たちが私の目の前に集まってきてくれる。こう見ると本当に目立つ集団だなぁと苦笑い。まあロイドやクラトス、ジーニアスやリフィルを除けば、みんな別々の個性溢れる髪色を持ってるんだよね。…そう考えると、私はやっぱり黒髪ポジションなのかなぁ。しいなのは若干紫入ってるし…。無理してみんなのように派手な髪をしなくても、私には私の似合う色があるんだろうし。それが黒色ってだけ。黒色の私が、今こうしてみんなと一緒にいられてるんだし。こだわることも…ないか。

「…で、結局ナマエは今回何を悩んでたんだ?」
「あははっ、くっだらないこと!」

でもやっぱり短期間でもいいから、派手な色に染めてみたいかも。




(これからは独り言をしないようにするね)
(確かに独り言をブツブツ言われるのは怖ぇけど…しないようにすることはねぇよ! 戦闘のときは俺がナマエを守ってやる! 考えることも大切だからな!)
(…こ、これが攻略王…!!)
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うおおおおおおシンフォニアリマスターおめでとうございます!!!
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