パジャマパーティー | ナノ
 



何でこうなった。
その言葉しか思い浮かばない。




まさかの雅臣の襲撃を受けて、雅臣が着替えを取りに帰ってる隙に壱哉にメールした。
魔王に殺される、助けてくれって。
そしたら部活帰りに急いで助けに来てくれたんだよ。
母さんが嬉しそうに息を切らしても格好良くて素敵だわぁとか言って出迎えて中に招いた。
そこまでは良かったのに。

「美里さん、先日は煮物有り難うございました。これ、タッパーとほんのお礼です」

「そんな、気を遣ってくれなくて良かったのよぉ。春佳君、ありがとうねぇ」


何で春佳まで来てんだよぉぉぉっ!!
着替えを取りに行った筈の雅臣は着替えだけじゃなくて春佳までつれてきた。
しかも不機嫌な顔してて怖ぇよぉぉぉっ!!
ご飯の間も無言だしっ。
いや、春佳と母さんは楽しそうに喋ってたな。
壱哉と俺も楽しく喋ろうとしたけど俺が口を開けた瞬間雅臣に睨まれて結局会話出来なかった。
何だよこのギスギスした感じっ!
春佳と母さんだけじゃん楽しそうなのっ!
寧ろ春佳は愛想笑いだから母さんだけだよ楽しんでんのっ!

ご飯も食べ終わって皆で俺の部屋に移動したらついに勃発してしまった。

「おい、テメェら帰れ」

「何を言ってるんですか?どうぞ、雅臣が帰って下さい」

「そうだ。大体大樹を1人きりに出来るわけないだろ。お前らが帰るなら俺も帰ってやる」

ああっ!俺のヒーロー!格好良い!
2人から守るように背中に隠してくれてほんと有り難い。
その背中に甘えるように擦り寄った。

「俺は借りたものを返しに来たら美里さんに泊まってくれと頼まれたんですよ。断るのは失礼でしょう?」

「俺はこいつに泊まりに来いって言われたんだよ」

「それなら俺も大樹に呼ばれたから来たんだよ」


雅臣待てぇぇぇっ!
お前のは全力で嘘だろっ!
口を出そうと壱哉の背中から顔を出したらまた雅臣に睨まれて背中に隠れた。
こ、怖ぇよぉぉ。
どうしよう。
壱哉には悪いけどこうなったらもう皆に帰ってもらうしかっ…
決心を固めようとしたら部屋のドアのノックが部屋中に響いた。

「大樹の部屋じゃ布団3枚しか敷けないし皆で寝るには狭いでしょう?今日、お父さんは泊まりで仕事らしいから1人はお父さんの部屋で寝てちょうだい。じゃあ、皆ごゆっくり〜」


母さんが用件だけ伝えて部屋から出ていくと空気が変わった。
えっ、何!?

「この中で誰が出ていくか、だな」

「俺じゃないのは確かです」

「大樹を1人残すわけにはいかない」

どうした皆。
何でそんなやる気出してんの?
ギスギスしてない分良いけど何これ。
皆構えてるけどこれってまさか…

「男らしく、1回勝負だっ」

「望むところです。負けた方がこの部屋から出ていくという事で」

「負けるわけには、いかない!」


「「「じゃんけんぽんっ!!」」」















「……じゃ、じゃあ、俺が父さんのとこで寝るから…皆、ごゆっくり」

3人の気合いにつられて俺もじゃんけんに参加したら見事俺だけが1発で負けた。
愛用の枕を抱えて部屋を出ていこうとした時に声を掛けたけど皆固まったままだった。
大丈夫かな皆。


「あ、母さん。俺が父さんの部屋で寝るから」

「あらそうなの?じゃあ布団敷きに行かなきゃ」

母さん、ほんと嬉しそうだな。
そういや、皆で泊まるとかちっさい頃振りだよなー。
あの頃はまだ雅臣も春佳も優しかったのに…やべ、泣きそう。
ほんとは折角だし夜更かししてゲームとかしたいけど、皆が来る前の雅臣の言葉が怖いし今日は大人しく寝よう。
いつかまた、意地悪とか虐めとか無しで皆でお泊まり出来ますようにっ。



「(何であそこで大樹が参加すんだよ…)」

「(まぁ…大樹は安全だし…うん…)」

「(…何でこうなったんでしょうか)」





2011/04/26
お泊まり会、まさかの大樹離脱です(笑)
大樹の寝顔を見たり寝相悪いふりをして悪戯したり普通に夜這いしたりとそれぞれ思惑があったのに。
言わずとも、お泊まり会を1番楽しんでいるのはお母さんです。
冒頭の2行は大樹よりも最後の3人の気持ちだったりします。

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