―――時折疼く左目



それは勿論、心地好いものなんかじゃなく―――




あの時はうざったい程の“赤”が、この左目を、左頬を伝っていた。



痛み等感じる暇も無いまま、唯がむしゃらに戦っていた俺達。



何の為に―――?




『仲間だと思っている。昔も今もだ』


そう言った嘗ての“仲間”


俺は国や仲間の為に剣を振るっていた訳じゃない。




“赤”が止まっている今、此奴(左目)を覆うのは、まっさらな白。



触れてみれば、指先にはざらりとした感触。その奥から、ドクドクと、静かに脈打つ神経が伝わる。


“白”が作り出す闇。


その闇中に在るものは

“黒”――――…




「先生………」



貴方は今、何を見てますか?


俺は――…俺の見ているモンは今も昔も変わっていない。



世界が、

腐ったこの世界が、

先生を奪い、
その理由が俺を動かしている。



こんな世の中、享受出来るわけがない。



壊す―――


俺が腐った世界をぶっ壊してやる――――



他に世界を変える方法がある?


俺にはその言葉は聞こえない。


押し殺してやる。




『全力でテメー(貴様)をぶった斬る』


去り際に、俺に切っ先を向け、そう言った彼奴等。


“訣別”成立。



この“黒”は何処まで牙を向けるか――――


邪魔するもの全てに向け続け、


全て壊したら、

その時、“黒”はどうなるか?



否、俺にはその疑問すらも必要ない。

捨ててやる。




今は唯、この隻眼に映る一本の道を突き進み、全てを壊すだけだ―――――…。






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