「痛…っ!!!」


調理実習の時間、野菜担当をしていた名前は、包丁で指を切るという、なんともベタなドジを踏んだ。


「大丈夫ですかィ?」

「名前!!大丈夫アルか!?血が出てるネ!!」


同じ班で、コロッケ用のジャガイモを潰す担当の沖田と、それを摘み食いしていた神楽が心配そうに名前に問う。


「うん…平気…」


彼女は笑っているが、深めに切ってしまった為、水道で洗っても、その指からはじわりじわりと血が滲み出ていた。


「そりゃ平気じゃねーや。保健室行きやしょう。センセー、名前怪我しちまったんで、保健室連れて行きまさァ」


名前の姿を見ながら沖田は頭を掻くと、彼女の手を上に上げさせ、銀八に声を掛ける。


「ん?あら名前ちゃん、指切っちゃったの?俺が舐めてあげよっか?」

「いえ、結構です」

「そんなあっさり断らなくてもよくない!?銀ちゃん寂しい…っ」


「銀ちゃんが舐めたら、傷口悪化するアル」


名前が銀八のご好意?をあっさり断ると、彼は親指をくわえ落ち込んだ。
それに追い討ちをかけるように神楽からも毒舌が。

名前は沖田を見、口を開く。


「総悟、一人で行けるから、あとはお願い」

「でも、一人で大丈夫ですかィ?」

「大丈夫、指だけだから。じゃ、よろしくね」


心配する沖田にニコリと微笑むと、名前は実習室を後にし、保健室へ足を進めた。







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