ピンポーン、とチャイムが鳴った。

一人で住むには贅沢な広い部屋。今はそこに二人で住んでいる。色々葛藤して、それで、結局離れなかった。いや、離れられなかったの間違いかもしれない。それだけあいつが好きで、傍にいたかった。

インターホンで誰か確認する。姿が見えない。

「…いたずらか?」

無視してやろうか、とも思ったけど性格的にもそういうことはできなくて。渋々腰を上げてドアへ向かった。

「はい?」

このご時世何があるか分からないから一応チェーンロックをかけて扉を開けた。すると…

ゴン!!

ドアの向こうで大きな音がした。え、何?

「っ」

ふらふらと視界に入ってきたのは、愛しい愛しいあの姿で。

「栄口!?」
「た、ただいま…」

鼻の辺りを真っ赤にした彼は、そう言って弱々しく笑った。



***



「本当にごめん」
「ううん、大丈夫。変なイタズラした俺が悪い」

巣山から鼻に湿布を貼ってもらった。冷たくて気持ちがいい。
驚かせたくて、チャイムを鳴らしてからカメラから離れた。で、ドアを開けた巣山に抱きつこうと思ったら…まあ結果はね。開ききらないドアに思い切りぶつかって。情けない。

「栄口せーんせ」
「…」
「何でそんな可愛いことすんの」

困ったような、嬉しいような、そんな笑顔でぎゅっとされた。呆れられるかと思ったけど、俺は安心してその腕に顔を埋めた。巣山の匂いがする。

「だって」

好きで、好きで。この気持ち表現するにはどうしたらいいかなって。そんなことで少し悩んで。それを学校の女子生徒達に持ち出したら「サプライズがいいよ先生!!」「苦手な人もいるかもだけど普段やんないっしょ?」「多分ギャップ萌え!!!」「やって損はない!!失敗したらまた相談乗るから」と盛り上がりながら教えてくれた。
慣れないことは、するもんじゃないな。

「巣山ー」
「ん?」
「惚れ薬作って」
「…誰に使うんだよ」
「…巣山ー」

正直に伝えると、巣山は一瞬驚いたように間をおいて、その後そっぽ向いて「作っても俺には効かないぞ」と答えた。

「なんで」

そう問うと、ちゅ、とキスされた。

「これ以上好きになったら、爆発する」

どうしようもなく嬉しくなって、抱きつく。巣山も俺に腕を回し、もう片方の手で頭を撫でてくれた。炊飯器が音を鳴らす。そういえば晩ごはんまだだったっけ。いいや、もう少しだけ、このまま。



END

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リーマンスピンオフ、ということで日常の二人を。イチャイチャさせてあげられて大満足です!!

凛々様、この度は素敵なリクエストありがとうございました!リーマンパロが大好き、ということで、少しでも楽しんでいただけたらと思います。
これからも宜しくお願い致します。


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