アイニキタヨ

___



会いに、きたよ。

「巣、山っ」
「御免な栄口。つい会いに来ちゃったよ」
「…約束破った。」
「御免な」

もうすぐ明日になりそうな頃。
窓からコツンと音がした。
何だと思ったら、それは愛しい愛しい巣山で。

「俺も、会いたかったけどさ」
「…おいで」

俺は家の前で待っている巣山の元へ走る。
寝ている家族を起こさないように注意しながら。

「巣山っ」
「栄口…」

巣山は俺を抱き締める。
そして、まるで宝石に触るかのように優しく顔を撫でた。

「久し振り…」
「毎日学校とか部活では会っているのに」
「二人きりで会うのとは違うだろ」

俺達が付き合っているという噂が学校で流れて。
それで俺達は二人で会わないようにしたんだ。
今の幸せを壊したくなくて。

「でも、俺軽く欲求不満になってたかも」
「巣山ってば」

俺は巣山の言葉に軽く苦笑を洩らす。

「…キス、しても良い?」
「っ…う、ん」
「…っ」

巣山の唇が触れる。
そこから全てが溶けていくように感じた。

柔らかい温もり。
巣山の舌の感触。
大人っぽい息遣い。

全てが懐かしくて、愛しいよ。

「…っよし」
「?」
「これでまた我慢できそうだよ」

巣山は元気が出たみたい。
勿論俺も出たけどね。

「あ、巣山っ」
「ん?」

俺は巣山の首筋に顔を埋める。
そしてキスマークをつけた。

「栄口…」
「これが消えたら、また会いたいな…」
「…うん、だな」

それは約束の紅い印。
それが消える頃に、次は俺が会いに行くから。



END


***
三万打フリリク安奈様。
「巣栄で互いが大事な切甘」でした。
どうでしょう…ドキドキします。
有難うございました!


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