誕生日プレゼント04

―――――ずっと、憧れていた。
名家の跡取りという重圧に縛られず、自由に生きる堂前に。
恵まれた才能を持ち、それを存分に発揮出来る器がある。誰もが焦がれて止まない、至高の存在。

その隣に、勉学だけが取り柄の自分が立つことを許されたら、どんなに幸せだったか。
夢は所詮夢でしかないのだと、気付かされた。

「っん、は、あっ…、きもち、い…、」

瞳をとろんと蕩けさせながら快楽に浸かって腰を振る堂前の姿に、森園の眦から一筋、綺麗な雫が伝う。

瞬間、森園は何かが吹っ切れたかのように腰を突き上げ、跳ねる堂前の腰骨辺りを逃げられないようにしっかりと掴んだ。

「んぁ!?あぅ、あっ、あぁッ、」
「堂前ッ!どうまえ、どうまえ…っ、」
「あーッ、んんぅ、…ッあ、ふ……っ!」

ガツガツと余裕のない突き上げは容赦なく堂前の中を蹂躙する。
遠慮なくイイトコロを刺激され、頭が可笑しくなりそうな、真っ白になるほどの快感に堂前はただ喘いだ。

「…っ、は、ぁあ!ンッ、あァ、…れー、いち…っ、」
「…ッ!堂前…!!」

卑怯だ。
情事中に、そんな蕩けきった顔で、喘ぎ交じりの甘い声で、名前を呼ぶなんて。
今なら彼の名前を呼んでも許されるかもしれない。そんな、期待が湧きあがる。

「……っ、どうまえ…ッ!」

けれどその勇気は森園にはなかった。
馬鹿みたいに涙を流し続け、猿の様に腰を振る森園を見下ろし、堂前は笑った。

――――こんな時くらい、名前で呼んだって別にいいのに。
変に生真面目で、頭の固い副会長。自分の右腕で、腐れ縁ながらの親友。

そんなお綺麗な男が自分をぐちゃぐちゃに犯す所を想像した瞬間、堂前の躰を何とも言い難い快感が走った。

「うぁ…っ、も、出る…っ!」
「は、ぁあ…ッ、あっ、ん!出せ、よ…、中に、沢山、

ぶちまけて、」

ぎゅううっと搾り取る様に締め付けてくる中に耐え切れず、森園は重ね続けた積年の想いと一緒に欲望を解き放った。




あれから堂前が満足するまで身体を重ね続け、気付けば日付をまたいでいた。
ぼんやりとベッドサイドに置いてある電子時計に目を遣っていた森園は、もぞもぞと身動きを取り始めた堂前へと視線を移す。

先程までの乱れ様が嘘ではないかと思ってしまうくらい至って普通に赤い衣服を纏った堂前は、ベッドに寝転がって自分を見つめる森園を一瞥して、扉へと向かった。
黙ってそれを見送る森園の耳に、喘ぎすぎて掠れた低い声が届く。


「麗一、わかっただろ?俺はこういう男だ。…お前のモンには、ならねぇよ。」

ドアノブを回し扉を開いて堂前が振り返る。
そこに浮かんでいた笑みは、いつも通りのそれで。

「MerryX'mas、いい夢、見ろよ?」


無慈悲に閉められた扉を見つめ続ける森園。
わかっていたじゃないか、彼が最低の人間だなんて事、知っていたはずだろう。

それでも涙腺は決壊してしまったかのように涙を流し続け、心は壊れてしまったかのように麻痺し続けている。


十八歳で迎えたクリスマス、節操なしのサンタが届けた一夜だけのプレゼントは、ほろ苦い思い出と共に失恋を与えてくれた。




植草さんから誕生日祝いに童貞狩りサンタ会長を頂きました。
しかも副会長攻めというオプション付き…!ちょっと切ない感じだけどこういう靡かないゲスビッチも勿論大好物なので美味しくいただきましたむしゃり!
植草さんありがとうー!





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(C)siwasu 2012.03.21


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