誕生日プレゼント

【すらいむくんのはなし。】



「う、っう゛え゛ぇ、っ」
ごぽり、と尋常じゃない太さと長さのそれが抜かれた場所から、注ぎ込まれたものが溢れる。
背筋から這い上がる悪寒と吐き気が聞くに堪えない声と一緒に漏れた。
瞬間、背後から伸びた手が頭を押さえつけて冷たく堅い石畳の上に顔面をぶつける。

「零すな。…お前みたいなやつには、勿体ない程の恩恵だろうに」
「ッあ゛、ふ…っ!ア、ス…トリア、様…」
「――――」

アストリア様の瞳に残虐さが色濃く映った瞬間、ああやってしまったと、遅れた後悔がどっと押し寄せたけれど、襲ってきた衝撃でそんなものも吹っ飛んだ。

おれはヒトのかたちをとれるけれど、ヒトではない。
魔物と呼ばれる種族のなかには入るとは思うが、魔物の中でも形を持たないもの――人間界のゲームで言う、一番最初の敵『スライム』種だ。
人間界では国民的なゲームらしいそのゲームのイメージでいうと、青くておもちみたいで、目がまんまるな相当間抜けな顔が出てくると思うが、それではない。
どちらかというと、形を持たないゼリー状のものを想像してもらえると近いと思う。
ゼリー状の体を、ヒトに近い形に構成して、機能をトレースして形成している――それが今のおれのかたちだ。
主人であるアストリア様の命で、ヒト型を保ち、時にはこうやってアストリア様から恩恵を頂き食事をする。
――まあヒトとちがうとすれば、食事方法だ。
ヒトは口から食事をする。咥内にふくみ、歯で噛み、飲み込み、消化していく。
だがおれは、ヒトでいう排泄する場所から取り込み、腹の中で消化し、体内に巡らせる。
面倒なことといえばこの過程だ。
正直ヒトの形でなければ、面倒なくそのまま適当な場所に主人の恩恵を与えてくれれば済むのだがそうもいかない。

「ひっ、あっあ゛、」

尻穴に突っ込まれた主人のそれが、乱暴に動く。粘膜を暴き、敏感なそこを刺激しながら犯していく感覚に涙の膜が張る。
おれらにとっての食事とは、性交にちかいものがある。
快楽を貪る。主人から与えられる恩恵に体が喜びを感じて、想像を超える絶頂が走り抜ける。
それは余りにも衝撃的すぎて、意識が何度も飛び、理性を手放すほどのものだ。

主人から与えられた恩恵。
それは隷属している魔物から見れば、とてつもなくありがたいもので。
そして生きていくうえで必要不可欠なものなのだ。

契約された相手、つまり主人がいなければ文字通り生きていけない。
なぜなら主人以外から与えられた『食事』は何の意味もなさないからだ。
というよりはむしろ、毒に近いもので。
もし主人以外の誰かと『食事』をしようものなら、注ぎ込まれた瞬間生命力を削られ瀕死にまでなるという―――…まあおれはそんなことしたことないから、分からないけれど。

と、いうよりは出来ない。
おれはスライムの中でも馬鹿で阿呆で、クズで…出来損ないで。
主人一人満足にさせられない、から。
そんなおれが、外で生きていけるわけがない。
ましてや主人の仕事の手伝いなど、できるわけがない。

家でおとなしくしている。
おれにできるのはそれだけ。
そう、主人が言っていた。

じゃらりと繋がれた鎖が鳴り、刺激から逃れようと動くおれを戒める。
主人はにたりと笑みを浮かべ、唇の端から鋭利な牙を覗かせた。

「どこに行こうというんだい」
「ひっ」
「お前には、俺しかいないっていうのに。…ね」

じゅぶり、と、やわらかい肉を犯される感覚。
中に注がれている恩恵が溢れて、目の前が真っ白になるような快楽が全身を走る。
衝撃で体がびくりびくりと反応したが、押さえつけられているから何もできない。

おれの頭の中には、きもちいいのと、こわいのと、それから
主人のことしか―――アストリア様のことしか、ないのだ。

そういうふうに、されているのだ。
おれは。おれのからだは。
頭の先から爪の先まで。たったの髪の毛一本、体液一滴でも。
それはすべてアストリア様のものだから。

触れられれば泣けるほど幸せで。
食事をすれば死ぬほど気持ちよくて。
殴られようが蹴られようが、それすらも褒美で。
アストリア様から与えられる何もかもがおれの幸福につながるのだ。

「あ、ぁあ、す、とりあ…さま…っひ、いいあ、あ゛」
「…嗚呼」
「い゛、あ゛う゛ぅうあ、ああああああ!あ゛っ」
「そろそろ、おかわりをあげようね」

激しくなる律動。
揺れる視界と思考回路。
ぐちゃぐちゃにされた粘膜はより一層敏感で、触れられるだけでそこは絶頂を感じるほどだったのに、アストリア様は何度も何度も蹂躙し抉り犯し、泣き叫ぶおれをかわいそうなものを見る目で見降ろすのだ。

「も、う゛、いいれ、す…っい゛あぁ゛あ、あ、お、おなか、が」
「まだだめだよ」

うっそりと美しい顔に笑みを浮かべ、アストリア様は囁く。
おれの腹をいとおしげに撫でながら。



「ここに、俺の子ができるまで…あともうすこしだ」



逃がさないよと、猫なで声で、残酷な現実を突きつけるその姿は。
おれを何度も絶望の淵に突き落とす。

ゆるして。
ゆるして。
ごめんなさい。
おれをここからだして。
いいこにしているから。
だからどうか。

だれか。




「だれかなんて、こないのに。君はどうやったってどうなったって俺のものだし、それは未来永劫変わらないものなんだよ。誰かに殺められることも、誰かに孕まされることも、誰かに従えさせられることもない。なぜならその権利は」

すべて、俺のものなのだから。








生かすも殺すも、俺次第。
(キミのいのちは、俺のもの。)


他の誰でもない。キミのものですらない。
呼吸ひとつだって、俺のものなのだから。








End?

師走さんへ!
はっぴーばーすでぃ!(゜レ゜)


スライムくん
ゼリー状。ヒト型をとっている。
アストリアにゴミと間違えて踏まれたことによって拉致監禁の人生が始まる。
名前はたぶんある。

アストリア
スライムくんをゴミと間違えて踏んで、驚いて逃げようともがくスライムくんに運命を感じたらしい。
その後スライムくんをストーキングし、わりかし人気なスライムくんに嫉妬→ばかなスライムくんをだまして契約→えっちなことしないとお腹いっぱいにならないよ!たべないと死ぬよ!なご都合主義な体にめたもるふぉーぜ
わりと上位悪魔だったりする。


たぶんこんな日常だけれどアストリア様とすれ違ったりなんだりして捨てられたと勘違いしたスライムくんが他の魔物についていく→アストリア様激怒→からの逃走劇が始まるかもしれない。






ぽりさんから誕生日祝いにスライム受けを頂きました。
ありがとうぽりさん!
でも最後はアストリア様が最後にデレてくれるって私信じてる!←





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(C)siwasu 2012.03.21


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