欲を言う狼(虎狼)R18



「てめぇは俺が食うって言ったよな、あ?」
「あっ!…っあ、あ、っや、糞っ、くそっ」

 どうやら神崎は俺たちが保健室に入る所を偶然見ていたらしい。風紀委員長の特権を使ってかけられた鍵を開けると1ラウンドが終わるまでカーテンの向こう側で座って聞いてたとか。盛ってて気付かなかった俺たちも悪いがお前も悪趣味過ぎるだろ。
 一睨みでいたいけな後輩を退散させた神崎は、次いで逃げようとズボンに手をかけた俺を押し倒して前戯も糞もないままいきなり後ろからぶち込んできやがった。先に後輩の出したもので中が滑りやすくなっているとはいえ、急な圧迫感に息が詰まる。

「ふっ、っあ、は、はっ…ぁ!」

 大きく息を吸いながら呼吸を整えようと思っても、許さないとばかりに奥を突かれて息ができない。呼吸困難に圧迫感、それと完全に握られた、熱に浮かされた体が悲鳴を上げている。もう限界だ。

「ひっ、あ、か、かんざきっ、も、無理…っ」
「さっきまで気持ちいいって元気に腰振ってたっ、じゃねーかっ」
「やっぅ、く、っん」

 ケツにパンパン当たる力強い音にぞくぞくと背筋が震える。同時に、強い射精感が訪れて俺はやばい、と枕にしがみついていた手を上げて降参の意を示した。

「かっ、んざ、きっ!も、イ、イきそ…っ」
「勝手にイけよ」

 神崎はそう嗤うと、強くペニスを前立腺に擦り付けてきた。その痺れに俺は呆気なく二度目の熱を吐き出す。

「あーっ、あっ、あ、ぃ、っん!…っあ!ひっ、やっ!ちょ、ちょっ、あっ、ま、待っ」

 けれど、出し切った熱の余韻に浸る余裕は与えてくれないらしい。まだイってない神崎はそのまま同じリズムで腰を打ち付けてきた。 先にイった俺はたまったものじゃない。反射的に逃げるように身を捩ると、逃がさないとばかりに片足を持ち上げて引っ張ってくる。

「ん、あ、ひっ」
「まだ食ってる最中だっての」
「あぁっ!」

 逃げんじゃねーよ、と言われて首に残る傷跡の上から鋭い歯を突き立ててきた。まだ薄い皮膚のそこは呆気なく食い破られ、熱い熱が吹き出す。シーツに垂れる赤を見て絶対これ一生残るだろ、と胸中で悪態をついた。
 それから遅漏野郎とか下手糞とか罵っていた俺も最後は力尽きて、神崎の精子欲しいとか適当に強請ったら呆気なく中でイった。お前絶対わざとイかねえようにしてただろ。

「ぜっ、は、ぁっ…はぁ、はっ」

 死ぬかと思った。と感じるようなセックスなんて初めてだ。流石の俺もセックス恐怖症になりそうな激しい行為に、ゆっくりと呼吸を整えられる幸せを噛み締める。
 しかし同時に重い体と倦怠感。あと寒気を感じて身震いしながらシーツを被った。そうだ、俺熱出てるんだった。

「おい、ここで寝る気か」
「俺は病人なんだよ動けるかクソが。発情期の雄みてぇにパコパコヤりやがって…」

 制服を整えたいつも通りの神崎に恨めしそうな視線を向ける。すると近付いてくる腕に思わず殴られるとシーツを頭まで被ったら、体が宙を浮いた。

「お、いっ、てめっ」
「ブレザーとズボン持っとけ」

 まさか嫌いな男にヤられるだけでなく俵抱きまでされるとは。
 しかし部屋まで送ってもらえるのは有難い。渡された自分の制服を渋々受け取るとシーツの中に隠すようにしまってまたシーツを顔が見えないように被りなおす。俺の鞄を持ったらしい神崎に「急ぐからちゃんと掴んでろ」と言われブレザーの裾をギュッと掴んだら肩がビクリと揺れた。

「…おい神崎」
「なんだ」
「詫びで風邪薬、買ってこい」

 分かった、と答えた神崎に俺は安心したのか、ドッと落ちてきた疲れに俵抱きされている状況にも関わらず寝入ってしまったのは最大の失敗だ。
 目覚めると見知らぬ部屋に神崎がいて、飯と薬の後の2ラウンド目があいつの部屋で朝まで行われたのは言うまでもない。

「お前最後は『神崎の赤ちゃん欲しい』とか言ってたぞ」
「寝言は寝て言え糞が!!」

 結局昼頃起きて完全回復した俺は、神崎の部屋でガチで殴り合った。後で直にバレて呆れた目を向けられたが俺は悪くない。
 全部あの年中発情期の馬鹿虎が悪いんだ。



end.

◆西條 生徒会長。
 突っ込むのも突っ込まれるのも好き
◆神崎 風紀委員長。
 セックス出来て上機嫌。けど野球部への当たりはきつくなる。



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(C)siwasu 2012.03.21


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