贖罪のハッピーバースデー | ナノ
贖罪のハッピーバースデー

「どうしたんだ? そんな顔して」
 トレヴァーの何気ない一言でエリックは我に返る。彼の服装から仕草から、隅から隅まで観察していた最中の出来事だった。言葉にも裏はなさそうだ、頭の中のもやもやは消えないが、向かい側で小首を傾げる彼に返答できるだけのキャパは残っている。
「そんなに酷い顔をしていたか?」
「酷いというか……スランプに陥っているような顔をしている」
 なるほど、彼から見た僕はそんな顔をしているらしい。確かにスランプで何もアイデアが思い浮かばず、ペンを持ったまま固まる事も地獄だが、もやもやの正体だって同じくらい、いやそれ以上に地獄な事を目の前のトレヴァーは知る由もないだろう。それを今から暴露してやろうか、それとも口を閉ざしたままでいようか。
 キルクスの街の一角、カフェの外に並べられたテーブルの一席に二人は座っていた。お互いに好いていた事を知り、付き合い始めてからそこそこの期間が経つ中でのデートは何十回、何百回目であろうと心が浮き立つものだ。しかし今回は違う。トレヴァーに会う前に見たものの衝撃は、楽しい気分を雨模様にするには充分だった。大雨とまではいかずとも、ガラルの天気にありがちな傘をさすかどうか迷う、中途半端で嫌な降り方の雨。気が滅入るくらい鉛色をした雲が心を濡らしている状態にあるのが、今のエリックだった。
「別に大した事じゃないさ、スランプと言えばスランプだろうし」
「まずくないか? 何か心当たりは」
「そうだな……ここに来る前にちょっとした事があったというか」
「そうか」トレヴァーが大きく息を吐く。それは災難だったな、と顔に書いてあるのを見て咄嗟にエリックは視線を逸らす。心を覆う鉛色の空から降り頻る雨の音が今にも聞こえそうだ。
「まあ、何度も言うが大した事じゃない」通りを歩く人々の足元に目線を合わせる。
「……怒っている?」
「かもね」不安そうにこちらを見やるトレヴァーの視線が眩しくて、痛くて、エリックはますますトレヴァーと目を合わせられなくなった。本当に大した事じゃない。ただ少し心に引っかかっているだけだ、威力は弱いがじわじわと毒で体力が削られていく「どくばり」を受けたような心地で。
 確信する。トレヴァーは何も知らないらしい──僕がトレヴァーとバニラを疑っている事を。ここに来る前に目にしたものが未だ残像として脳にこびりついている事を。
「一体何があったのか聞かせてほしい、俺で良ければ力になる。いつもはっきり物を言う君がここまで隠すなんて、俺だって心配だ」
 トレヴァーの言う通りエリックは思った事を口にしやすい方だが例外もあって、トレヴァーと恋仲になる前はひたすら彼への思いをひた隠しにしてきた。それを口にすればどうなるかが怖くて。そして今、同じ状況にあるからこそエリックはトレヴァーの言葉に沈黙で答えるのだ。長く、永遠とも思われる程に。通りや周囲のテーブル席は賑やかで、どうでもいい話し声が耳から耳へと抜けていく。
 何からトレヴァーに話せば良い? エリックは自問する。「本当に何でもない話だ」と声を荒げる事もできるがトレヴァーとこれ以上気まずい状態になりたくない。「怒らないで聞いてほしいんだが」とでも切り出すか? 無難中の無難だ、しかし最悪の方向に行ったらどうする? それとも直球をぶつけるべきか。
「僕の勘違いなら良いんだけど」
 考えるよりも先に口が行動に移していた。ハッとトレヴァーが背筋を伸ばす横で次の言葉を続けるか迷い、あーだのうーだの、絞り出した声にならない声しか出てこない。それでも意を決して、少しずつ言葉にする事にした。
「今日出かける準備をしていた時だ」今も鮮明に思い出される、午前中の出来事が。まるで鉄塊をゆっくり吐き出すがごとく、意識して言葉を繋げようとする。「その前に補足すると、僕の部屋からは隣の家のバニラの部屋が見えるんだ。だから昔から窓越しに糸電話で話す事もあって……」
 話が脱線しかけていやいやと首を振る。問題はそんな構造だからこそ起こってしまった話だ。午前中エリックはトレヴァーと会う準備を終え、出かける前に窓に吊るした植物を手入れしようと窓を開けた。そして視線が隣の家の窓に向いてしまったのだ。幼馴染であり、何でも話せるくらいに心を許しているバニラが自室でトレヴァーと親しげに会話している姿を。しかもあろう事か、バニラはトレヴァーの肩に手をかけ、二人して笑い合っている。
 真っ先に湧きあがったのは激しい嫉妬心だった。トレヴァーが僕以外の誰かと親しげに話している、しかもあんなに心を開いている様子で。エリックの脳内に浮気の文字が浮かび上がり、声を上げたくなる気持ちを抑えながらバニラの部屋を凝視する。バニラもバニラだ、あんなに僕の味方だと豪語し、トレヴァーとの恋路の手伝いまでしてもらっていたのに、この仕打ちは残酷すぎる。長年の付き合いである彼女にも裏切られた事は一層エリックの心に暗い影を落とした。
「信じていたのに」目頭が熱くなり、咄嗟に片腕で目を乱暴に擦る。幸い涙としてこぼれ落ちる事はないにしろ、視界が僅かにぼやけて見える。
 エリックが潤んだ目でトレヴァーを睨みつけると、当のトレヴァーはぼやけた視界からでも分かるくらいに困惑していた。初めて小さな子供をあやすような、何から手をつけて良いか分からなさそうな面持ちで、口を半開きにしてじっとエリックを見つめている。
「ま、待ってくれ」トレヴァーが目を伏せる。「君はその、とんでもない勘違いをしている」
「明確な証拠がなければ、この場で君の炎が凍りつくくらいの吹雪を浴びせてやる」
「……ッ!」
 精一杯の低い声でエリックが返した瞬間、その手をトレヴァーに掴まれる。身構える暇はなく、そのまま無言で二人はその場を離れる。どこへ、と問う余裕もなかった。大股で歩くトレヴァーに着いていくと店の裏の人気のない路地裏に連れ込まれ、気付けばエリックの唇はトレヴァーの熱で埋め尽くされていた。肌と肌が触れ合い、冷たさが彼の温かさと混じり合っていく心地よく、ゾクゾクする瞬間。そのまま流れるように口内でしばし戯れた後、パッとトレヴァーが唇を離す。
「俺が誰かに靡くはずがない」口の端に唾液の跡を残しながらトレヴァーが喘ぐ。「いつだって君が一番だ」
「それだけじゃ明確とは言えない」
 そう言いながらも、エリックはトレヴァーが危険を冒してまで外で愛を伝えてくれた事に少しだけ警戒心を解いていた。トレヴァーの厳格な父親に交際が発覚する事を恐れ、二人は恋人同士である素振りを周囲に見せないようにしている。もしこの様子が誰かに見られていたら、翌日の新聞や雑誌を賑わせる題材にされていただろう。それを承知でトレヴァーはここに連れてきてくれた。このまま許しても良いが、窓越しに繰り広げられていた光景を謎のまま終わらせることはできない。
「確かに、エリックと会う前にバニラと話していたのは事実だ。でも俺とバニラはあくまで友人でしかない」
「それで、何について話していたんだ?」
「それは……」一瞬トレヴァーの目が泳ぐ。「知人の贈り物の相談に乗ってもらっていた。バニラだったら何か知っていると思って、そしたら思いの外盛り上がって……」
 もうエリックの視界はぼやけていなかった。本当だぞ、と語気を強めるトレヴァーの目をはっきりした視界から覗き込めば、炉のように煌めく金色の瞳に自分が映っている。そこでエリックは、今の自分がトレヴァーと全く同じ表情をしている事に気付いた。一切を曝け出し、相手に本音をぶつけている顔。
「それとも、バニラにあまり触らないよう言った方が良いか?」
「いや」軽く周囲を見回し、誰もいない事を確信してエリックがトレヴァーの頬にキスする。「僕が悪かった。早とちりしてこんな事になるなんて」
「ああ……こっちも、その、まさか見られてたなんて……」
 トレヴァーの顔から離れると、彼はまだばつが悪そうに立ち尽くしていた。このごたごた騒ぎだけじゃない、エリックは気まずそうな視線の他に、トレヴァーが物欲しげな様子を見せている事を見逃さなかった。僕だってまだ伝え足りない。トレヴァーを壁際に追い込み、もう一度彼の唇の温かさと味を堪能する。感情の全てを舌に込め、彼の口にねじ込めばトレヴァーも同様に返してくる。彼の腕を両手で掴み、エリックはトレヴァーと儀式を行うがごとく絡み合った。本当ならトレヴァーだけを見つめていたいが、誰かの気配を感じ取れる程度に周りにも気を配りつつ、謝罪や安堵感の気持ちを溢れ出るままにする。一方のトレヴァーも同じ事を考えているようだった。彼から与えられる感情や熱に身震いし、エリックはようやく心の雨が止むのを感じる。全く、僕はどうかしていた。自分でも想像つかないくらいに嫉妬深かったとは。だが全ては杞憂に終わり、後に残るのは雨によって固められた地盤と、互いの息遣いと口が擦れ合う水音だけだ。
 トレヴァーの口から舌を抜き、吊り橋のように繋がっている唾液の糸を乱雑に切る。外という場所でこれ以上は発展させられないし、今は理性を飛ばす必要もない、これで充分だった。肩で大きく息をするトレヴァーの手を取る。
「さ、戻るぞ」
 トレヴァーはしばしばキスの時に呼吸を忘れる。今回も息を吸う事が頭から抜け落ちたのだろう、その様子が愛おしくて思わず笑みがこぼれる。互いにわだかまりも消えたところで、エリックはトレヴァーを連れて路地から通りへと歩みを進めた。


 カラフルな包み紙を破き、エリックは言葉を失った。これまで読もうと思いながら結局読まないまま今に至っていた作品が多々あるのだが、そのうちの一作が現れたのである。
「巻末を見てみな」
 トレヴァーに言われるままに本の巻末を開き、更にエリックは目を丸くする。
「初版だって!? この本の初版なんて珍しいのに、よく探し当てたな!」
「各地をくまなく探し回ったからな、君のためなら何だってできる」
「ああ、トレヴァー。君って奴は本当に最高のパートナーだ!」
 その勢いのままトレヴァーにキスをしようとしたところでバニラの咳払いが聞こえ、エリックは慌ててトレヴァーから離れる。今はエリックの部屋で小ぢんまりとした誕生会を開いており、トレヴァーとバニラから誕生日を祝われていたのである。周りには役目を終えたクラッカーが散らばり、部屋の真ん中に置かれたテーブルにはケーキを食べ終えた皿と、僅かに残った紅茶が残されている。
 最高に幸せな誕生日だった。大切な存在である二人から祝いの言葉をかけられ、抱擁を受け、飲めや歌えやの騒ぎを繰り広げてくれただけでエリックの心は幸福という言葉に満たされるばかりなのだが、その杯の幸福は今も過剰なまでに注がれんとしていた。
「私もエリックに用意してたんだけどな」
「分かってるさ、バニラのプレゼントはどれだっけ」
 バニラが小さな箱をエリックの手に乗せる。やけに細長い箱の包装を解き、現れた白い箱をそっと開けると再びエリックは言葉が出なくなる。万年筆は丁度欲しいと思っていたものだ。ハイブランドかつ緑色の洒落たデザインは、手に取らなくてもエリックの手によく馴染みそうだと一目で分かる。
「バニラ! 良いのか本当に?」
「いいのいいの。いつも世話になっているんだから、これくらいはね」
 正に破顔と言わんばかりに顔が綻び、そのままぬいぐるみのように万年筆を箱ごと抱きしめる。だからバニラは素晴らしすぎる幼馴染なのだ。こちらの想定の上を超えてくる相手はバニラ以外にはトレヴァーしかいない。
「何たって君たちは僕の欲しいものが分かるんだ? ここまで的確すぎると心読まれてそうで怖いんだが?」
「大したことじゃないよ」バニラがふんと鼻を鳴らす。「ここ最近のエリックを観察して、これかなーって思ったものを贈っただけだし、トレヴァーとも相談したからね」
 ねっ、とバニラが振り向くとトレヴァーもこくんと頷く。
「まあ、色々あったけど用意できて良かったよ」
「色々?」きょとんとした表情でバニラが首を傾げる。
「バニラには関係のない話さ。個人的にあった話だから」
 そう、と首を傾けながらも納得するバニラ、その後ろで若干顔をこわばらせるトレヴァー。和気藹々とした雰囲気の中、エリックはある瞬間が脳内に蘇ろうとしていた。
 この話を聞いたことがある。ちょっと前に勘違いからトレヴァーを尋問した時、確か誰かへ贈り物を渡そうとしていなかったか? しかも相談相手はバニラときた。わざわざバニラに聞いたのは単なる友人関係にあるからだと思っていたが、パズルのピースが繋がる音が響く。
 あっ、と声を出しかけて唇をきつく締める。僕はその二人に対してひどい疑いをかけていたのだ。ありもしない事象を思い浮かべ、涙目でトレヴァーを責めた日の会話がリフレインする。あの時のトレヴァーの困惑した顔や味わいは実に興奮し唆るものがあったという話はさて置き、恋人と親友に不信感を抱いてしまう自分はあまりにも情けなくて、弱くて。あの日トレヴァーと別れてからずっと自責の念に駆られ続けていた事を思い出す。これ程の罪悪感は子供時代に父親の書類をいたずらで隠して、隠し場所を忘れた時に匹敵するか、それ以上のものだった。一応トレヴァーには誠心誠意の謝罪を伝えたが、バニラにこの話はしていない。出来るわけがない話題と言えばその通りだが、自分の事を思ってくれる彼女相手にも同様の事をすべきではないだろうかと考えたのは事実である。
「二人とも、ちょっと待っててくれないか?」
 トレヴァーとバニラの返答を聞くより先にエリックはクローゼットの中に飛び込む。自己満足と言われようと、せめてもの気持ちを伝えたくて、誕生日までの間に用意していたものがあった。吊るされた服という服をかき分けながら暗がりの中手探りで二つの袋を見つけ、片手で抱えて飛び出す。
「渡したいものがあるんだ」
 息を整え、二人にシックなラッピングの施された袋を見せる。二つともバニラの胴体が隠れてしまいそうな大きさで、バニラには薄紫色、トレヴァーにはワインレッドの色で区別をつけている。
 エリックの突然の行動に、バニラもトレヴァーも目を丸くして佇んでいる──当然だ、エスパータイプならまだしも、二人とも本当に心を読める訳がない。トレヴァーは魔法を使えるが、読心術は専門外だと以前語っていた。
「えっ、これどうしたの?」
「その……日頃のお礼というか」
 流石にバニラに疑惑の話はすべきではないと告げる心に従い、彼女には黙って薄紫色の袋を渡す。トレヴァーは何も言わなかったが、ワインレッドの袋はきちんと受け取ってくれた。行き渡ったところで開けるよう促すと二人はテーブルに座り、早速リボンを解く作業に入る。
「あっ可愛い……コスメのセットに手袋だ!トレヴァーは?」
「俺は……ヘアオイルだ。それに欲しかったCD」
 これで良い、押し込めていた感情が溜息として漏れ出る。僕自身がやりたかった事だ、このまま何も言わずに受け取ってもらえれば尚有り難かったが、驚きを隠せないバニラを見るに、そうはいかないようだ。
「エリック、誕生日のお返しなんて聞いた事ないよ!? どういう風の吹き回し?」
「えっと……ホワイトデーを知らないのか?」頭を必死に回転させる。知識とはこういう時に役立つものだ。「極東の行事なんだが、バレンタインのお礼っていうのがあるんだよ。それを丁度バレンタインの一ヶ月後に渡すから、つまりは僕の誕生日という訳で……」バニラは毎年大量に貰ったチョコレートの余りをくれる。嘘は言っていない。
「ふうん」バニラが半目でエリックを見つめる。いかにも半信半疑といった顔つきで、それでもプレゼントに一瞬視線を落とし、仕方ないといった表情になる。「でも貰ったのは嬉しい。ありがとう」
 バニラの優しさが身に沁みる。改めて彼女が隣の家の住民で良かったとエリックは心中で神に祈りの言葉を捧げたかった。そして懺悔の言葉も。にこにこ笑いながらコスメセットの箱を開くバニラの一件は一区切りついたとして、エリックはバニラの向かい側で輝かんばかりの笑顔でプレゼントを手に取るトレヴァーに目を移す。彼の髪の感触から合いそうなヘアオイルを探しにウィンドンの老舗百貨店に駆け込んだ事を思い出し、少なくともそれが間違いでなかった事にホッとした瞬間体から力が抜ける感触を覚える。
 それにしてもトレヴァーは可愛らしい。普段は大人びた彼が年相応のあどけない表情を見せると知った時の衝撃は計り知れないものだったが、慣れた今見ても抱きしめたくなるくらいに良い顔をしている。CDもデートの最中に彼がCDショップで熱心に眺めていたものを後から確認し、贈ったものだったが喜んでくれているようだ。こんなに良い反応をされたら見てる方だってにやけてしまうじゃないか──と、エリックとトレヴァーの目が合う。トレヴァーの金色の瞳がこっちに来てくれ、と語りかけているのをエリックが見逃すはずもなく、彼の元へと寄るとそっとトレヴァーが耳打ちした。
「俺はバレンタインにチョコレートを贈ってないはずだけどな」
 意味深な、何かを含んだ言い方に思わずエリックは肩をすくめる。「そんなの、君は分かっているはずだ」
「ああ、だから言わせてもらう。こんなに貰って良いのか? ヘアオイルなんか結構良いところのやつだし、CDはまさに欲しいと思っていたやつだ。」
「勿論」これには即答した。「謝罪の気持ちもあるが、とにかく、君へのあらゆる思いを形にして伝えたかったからな」
「そうか……ありがとう」
 その瞬間、エリックはトレヴァーを抱きしめてキスしたい衝動に駆られた。先ほどの可愛らしい表情よりもふわっとした微笑みを浮かべ、ヘアオイルを見つめる姿からは慈愛に満ちた聖母のような安らぎと神秘的な雰囲気を感じる。彼が心の底から喜んでいる様子を見るとこちらも頬が緩んでくる。
「あれ? もしかしてトレヴァーは何か知ってる感じ?」
「いや、何も」
 コスメセットから顔を上げたバニラの言葉にトレヴァーは何気なく返す。その一方で顔はエリックの方を向き、軽くウインクしてみせる。ああ、とエリックの口から声が出た。僕は君の事が大好きだ。
「平和だな」
 思いを噛み締めている最中でも、トレヴァーがヘアオイルから幾らかを取り出し、香りに目を細めた時にボソッと呟いた言葉はエリックの耳に入った。自分に言い聞かせるように頷いてみせる。
 こんな誕生日だって、あっても良い。

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3月14日はエリックの誕生日なので、彼の誕生日の話を書きました!
エリックの周りは優しい相手で溢れているんだって話……だから彼も自信家に育つのである。
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