「…私達を連れて行くのはいいが、お前は何をしようとしているんだ?」
ため息混じりに話すのはサイキックのハサイダ。
「そうだよー、ここって確か危ない所に指定されなかったっけ?」
つまらなそうに欠伸をしているのはトリックスターのスレイ。
二人共、何やら面倒事に巻き込まれている様に見える。
「ちょっと気になる事があって、夜も寝られないんだよ」
そんな二人とは違って異様にウキウキした様子で後ろを振り返るサムライのサハラがいた。
「ちょっとー、気になる事って何さ?くっだらない理由なら僕帰るよ?」
周りにドラゴンがいないのならいる意味がないと言い出すスレイの顔は、とてもつまらなそうである。
サハラはそんなスレイを横目に見ながら地面に視線を向け、ある物に近付いていく。
「全く、何をしようとしているのか私には…」
さっぱり分からん、とハサイダの続くであろう言葉が途切れてしまった。
それもその筈、サハラがある物に手を伸ばしているのを目撃したからだ。
「止めたまえ!!!」
咄嗟にサハラの足元にファイアを出し身動きが止まっている隙に腕を引いて離れさせる。
「あれは生身の人間が触れるのは危険だとお前は知っているだろう?!」
あのまま触れればエメルやキリノに説教を食らうのは目に見えていた。
それよりもリーダーであるサハラに易々と怪我をされては困る。
そんな事を思っていたハサイダとは裏腹に、サハラは再び触れようと掴まれた腕をほどこうとしていた。
「そんなの触らなきゃ分からないだろ?
なぁ頼む、ちょっとだけでも!」
「絶対に駄目だ」
「ねぇ、さっきから何言い合ってんの…」
スレイは二人のやり取りを見て物凄く呆れていた。
サハラが触りたがっているある物とは、黒いフロワロだという事は分かっている。
それを必死に止めているハサイダは大変だな、だとかどうでもいい。
とにかく僕は帰るよ、とスレイが呟けば貴様も止めろ!とハサイダに怒られてしまう。
「マジ勘弁〜…」
スレイは嫌そうな顔をしながらふと、ある事を思い付く。
そうだ!簡単な方法あるじゃないか、と。
「あと、ちょっとで…!」
「させん…っ!」
力的にサムライのサハラが強いみたいで、腕を引っ張られているのにも関わらず黒いフロワロまで後数センチという距離になっている。
両腕を使っているハサイダは触れさせまいと必死だ。
そんな二人を見ながらスレイは言った。
「思ったんだけどさぁ、……脱出キット使った方が早くない?」
「えっ?」
「なに…?」
二人の声が重なるのと同時にスレイは脱出キットを使用して、その場から三人は消えてしまっていた。
(アイテムで全て解決)
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アイテムって便利ですよね、っていうお話。
リーダーに振り回される13班です。