初対面の時って大事だよな。

少なくとも俺はそう思っていた。



都庁前に俺はやって来ていた。
何故かって、ムラクモ機関の候補生募集を聞き付けて飛び入り参加させてもらったからである。
特にお咎め無くいけたので先ずは一歩前進。


そして今は一緒に組む人を探している所なんだけれど…。
皆が皆、どんな能力を使うのか分からないから中々声をかけれずにいた。



「はぁ…これじゃ飛び入り参加させてもらった意味がない……」



折角の機会なのにこれでは一人で行動する事になってしまう。
少なくとも、マモノ相手に一人で挑むというのが自殺行為なのは身にしみている。
俺が実際に死にかけたしな。


周りを見れば次々とチームが決まっていて都庁のエントランスへ向かっていく姿がちらほら出始める。



「あぁ、ヤバイ……!」



これは完全に一人のパターンになりかねない。
と言うかもう周りに人が…。


サハラの顔が完全に青くなっていた時に背後から声がかけられた。



「…そこのお前、私と組んでみる気はないかね?」

「えっ?」



声に気付いた俺が振り向くと、頭にバンダナを着けた青年が立っていた。

歳は…俺と同じ10代後半位だろうか?
それにしては話し方がどうも上からの様な気がする。



「えっと…何か得意な事とかある?それによって俺も立ち位置を考えなきゃいけ……」

「超能力。つまり私はサイキックだ。
これだけ言えば問題ないだろう。サムライのお前ならばな」



サハラの言葉を遮ってその青年は簡潔に言ってきた。
どうやら、こちらの能力を理解した上で声をかけて来たらしい。

でもやっぱり上から目線の言葉に俺は苦笑するしかなかった。
まぁこれで一人の心配は無くなったから良しとするか!



「俺サハラ、これから宜しくな!」

「ふむ、サハラか。私の名前はハサイダだ」



お互い自己紹介が済んだ所で俺が握手をしようと片手を出した。
…が、ハサイダはしたくないのか無視をしているのか分からないがそそくさと都庁内のエントラスへ向かって行ってしまう。

って、ちょっと待て待て!まだ二人だぞ。



「おいハサイダー!お前二人だけで行こうとするなって!」

「何を言う。もう周りに人がいないのが分からないのか?」

「……えっ」



ハサイダに言われて周りを見れば、候補生の人が全員いなくなっていた。
どうやらサハラとハサイダが完全に候補生の゙最後゙である。



「嘘だろ…」

「まぁ諦めろ。私とて本日発売日である新作のゲームを買うのを遮られて連れて来られたのだからな。
お前の今と同じ様な心境だ」

「い、いや…それ多分違う方の心境じゃ……」



今更だけど俺大丈夫かな、この人と組んじゃって…。
見た目がもうアレだし。

言い様の無い不安がサハラを取り巻いていた。



そんなやり取りを後ろで見ていたナツメが見兼ねたのだろうか。
サハラを呼び止めた。



「そこの候補生、ここに一人いるのだけれど…チームに組んで貰ってくれないかしら?」

「一人……ですか?」



俺はその言葉を聞いて後ろを見る。
確かにナツメの隣に先程にはいなかった人がそこに立っていた。

だがフードを被っているので顔が見えない。



「私が呼んだ最後の候補生よ。きっと力になると思うわ」

「…は、はぁ」



取りあえず俺は言われるがままに、フードの人をチームに組むことにした。
確かに3人にはなったけど…フードの人も何か不安だな。

俺がそんな事を思っていると、相手が近付いてきた。
何だ?と思いながら見ていたらズイッと手を差し出すなり一言。



「…ハッカーのダランだ、これから宜しく頼む」



と、自己紹介をされた。


その後少しだけ会話をしたけど、真面目な性格らしいダランに対して先程の不安は何処かに消え去っていた。
ハサイダとは大違いである。

これなら行けるかもしれない。



「3人になったのならば早くエントラスに行かないか!皆待っているぞ」



上から目線のハサイダに苦笑しながらサハラはダランを連れて共にエントラスへ歩き出した。



これが、ムラクモ13班の最初の出会いである。





(出会いは偶然か、必然か)
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ハサイダは最初こんな感じで上からズバズバ言っていたに違いない。

あんな見た目と話し方だと不安になりますよね、うん。

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