page - 02
「こちらになっております」
案内されたのはイルミネーションで灯された中庭がよく見える場所だった。
忍田さんが椅子を引いてくれたのでその椅子に座り、忍田さんは支配人さんに椅子を引かれて腰を落ち着けた。
「こちらがメニューになっております。しかし確か、事前にコースを予約されておりますね。そちらで構いませんか?」
「はい、結構です。あ、そうだ。結ちゃん、アレルギーとかはない?」
「いえ、ないです」
「ええ、大丈夫です」
「畏まりました。それでは準備いたしますので、少々お待ちください」
メニュー表を持ち帰っていった支配人さんを見送ると、ふぅ──と息が洩れた。
「もう気軽にって言われてたのに……」
「はは、ごめんごめん。まあ、形式だけみたいだから、次はゆっくりと食事を楽しんでね。美味しく食べないと損だよ」
「まあ、そうですね……」
いろんな意味で、頭の中リフレッシュできた気がする……。
「それにしても、中庭きれいですね」
「うん、そうだね。あ、手前に花畑が見えるでしょ。あれ、ライトなんだよ」
「えっ、そうなんですか!?」
「うん、シェードを花びらの形にしてるみたいなんだよ。それを季節に合わせた花の形があって、シーズンによって違うらしいよ」
「へぇ〜そうなんですか! すごいですね……」
「うん、そうだね」
さらに見渡していくと、両端には天使と神の石像が下からライトアップされて、神々しく見える。
「ん……奥には十字架が立ってますね?」
「うん、中庭のコンセプトは教会をイメージしたらしくてね。ここで結婚式とか披露宴の会場にも人気があるそうだよ。一日貸切にできるって聞いたよ」
「へぇ〜、ロマンチックですね……」
ここで結婚式かぁ……。
教会で挙げるのがセオリーだけれど、一風変わった感じがして、それはそれでいいものかもしれない。
「いいお店だよね」
「はい、そうですね。私、もう気に入っちゃいました」
「はは、そっか。料理ももちろん美味しいから、きっともっと好きになってくれるね」
「ふふ、そうですね」
そうやって中庭の話で盛り上がっていると、最初の料理が運ばれてきた。
「美味しそう……」
「うん、本当に美味しそう。じゃあ、いただこうか」
「はい、いただきます」