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「こちらになっております」


 案内されたのはイルミネーションで灯された中庭がよく見える場所だった。
 忍田さんが椅子を引いてくれたのでその椅子に座り、忍田さんは支配人さんに椅子を引かれて腰を落ち着けた。


「こちらがメニューになっております。しかし確か、事前にコースを予約されておりますね。そちらで構いませんか?」

「はい、結構です。あ、そうだ。結ちゃん、アレルギーとかはない?」

「いえ、ないです」

「ええ、大丈夫です」

「畏まりました。それでは準備いたしますので、少々お待ちください」


 メニュー表を持ち帰っていった支配人さんを見送ると、ふぅ──と息が洩れた。


「もう気軽にって言われてたのに……」

「はは、ごめんごめん。まあ、形式だけみたいだから、次はゆっくりと食事を楽しんでね。美味しく食べないと損だよ」

「まあ、そうですね……」


 いろんな意味で、頭の中リフレッシュできた気がする……。


「それにしても、中庭きれいですね」

「うん、そうだね。あ、手前に花畑が見えるでしょ。あれ、ライトなんだよ」

「えっ、そうなんですか!?」

「うん、シェードを花びらの形にしてるみたいなんだよ。それを季節に合わせた花の形があって、シーズンによって違うらしいよ」

「へぇ〜そうなんですか! すごいですね……」

「うん、そうだね」


 さらに見渡していくと、両端には天使と神の石像が下からライトアップされて、神々しく見える。


「ん……奥には十字架が立ってますね?」

「うん、中庭のコンセプトは教会をイメージしたらしくてね。ここで結婚式とか披露宴の会場にも人気があるそうだよ。一日貸切にできるって聞いたよ」

「へぇ〜、ロマンチックですね……」


 ここで結婚式かぁ……。
 教会で挙げるのがセオリーだけれど、一風変わった感じがして、それはそれでいいものかもしれない。


「いいお店だよね」

「はい、そうですね。私、もう気に入っちゃいました」

「はは、そっか。料理ももちろん美味しいから、きっともっと好きになってくれるね」

「ふふ、そうですね」


 そうやって中庭の話で盛り上がっていると、最初の料理が運ばれてきた。


「美味しそう……」

「うん、本当に美味しそう。じゃあ、いただこうか」

「はい、いただきます」

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