page - 02
「お。いたね、あの二人」
「あ、そうですね」
身近な道中でも何度もからかわれたところで、待ち合わせ場所にはすでに結と忍田さんの姿があった。
「お待たせしました」
「お待たせしました!」
「うん、17時きっかりですね」
「早かったんですね、二人とも」
「ま、まあ……。何とか許してもらったので。──ご迷惑おかけしました」
「ご迷惑おかけしました」
二人して謝ったので、この様子ならそうなのだろう。
「とりあえずよかったですよ〜! じゃあ、帰りましょう!」
「そうだね。あ、結ちゃんは俺の家に泊まるから、新城さんだけ送ればいいのかな」
「あ、それなら大丈夫ですよ、忍田さん」
「え?」結と忍田さんの声が重なる。
そんな二人に気を留めることなく、立花さんは続ける。
「新城さんも俺の家に泊まりますから」
「えっ!?」今度は結と忍田さん、そして私の声が合わさった。
「立花さん、聞いてないですよ……!」
「まあまあ。積もる話もあるし」
「つ、積もる話ってなんですか……!」
「まあまあ。着いてからのお楽しみ。ということで、よろしくお願いします。忍田さん」
「は、はい。判りました」
積もる話って……さっきの、『気持ちよくしてあげる』のことですかぁ……?
うう……心の準備、車の中でできるかなぁ……。
「ね……ねえねえ、絢未」
「ん?」
「もしかして……もしかしてだけど……!?」
「それ、懐かしいね。……うん、立花さんと付き合うことに、なりました」
「ああ、やっぱり……! あんな、ぐいぐい行く立花さん、見たことないもん。へ〜っ、おめでとう!」
「う、うん。ありがとう」
「黒川さん、ありがとう」
「わっ、聞いてたんですか、立花さん!」
突然、背後からぬるりと話に入ってきた立花さんに驚く。
「そりゃあ、黒川さんの興奮した声が聞こえてくれば、いやでも耳に入るよ」
「あ、あははは……」
「それに、きっとこういう機会を作ってくれたんでしょ? ホントにありがとう」
「ば、バレてました?」
「バレバレだよ」
「うーん、さすが立花さん……」
「一緒に働いて長いからね。ほら、行くよ二人とも」
「は、はい!」