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「お。いたね、あの二人」

「あ、そうですね」


 身近な道中でも何度もからかわれたところで、待ち合わせ場所にはすでに結と忍田さんの姿があった。


「お待たせしました」

「お待たせしました!」

「うん、17時きっかりですね」

「早かったんですね、二人とも」

「ま、まあ……。何とか許してもらったので。──ご迷惑おかけしました」

「ご迷惑おかけしました」


 二人して謝ったので、この様子ならそうなのだろう。


「とりあえずよかったですよ〜! じゃあ、帰りましょう!」

「そうだね。あ、結ちゃんは俺の家に泊まるから、新城さんだけ送ればいいのかな」

「あ、それなら大丈夫ですよ、忍田さん」

「え?」結と忍田さんの声が重なる。
 そんな二人に気を留めることなく、立花さんは続ける。


「新城さんも俺の家に泊まりますから」

「えっ!?」今度は結と忍田さん、そして私の声が合わさった。


「立花さん、聞いてないですよ……!」

「まあまあ。積もる話もあるし」

「つ、積もる話ってなんですか……!」

「まあまあ。着いてからのお楽しみ。ということで、よろしくお願いします。忍田さん」

「は、はい。判りました」


 積もる話って……さっきの、『気持ちよくしてあげる』のことですかぁ……?
 うう……心の準備、車の中でできるかなぁ……。


「ね……ねえねえ、絢未」

「ん?」

「もしかして……もしかしてだけど……!?」

「それ、懐かしいね。……うん、立花さんと付き合うことに、なりました」

「ああ、やっぱり……! あんな、ぐいぐい行く立花さん、見たことないもん。へ〜っ、おめでとう!」

「う、うん。ありがとう」

「黒川さん、ありがとう」

「わっ、聞いてたんですか、立花さん!」


 突然、背後からぬるりと話に入ってきた立花さんに驚く。


「そりゃあ、黒川さんの興奮した声が聞こえてくれば、いやでも耳に入るよ」

「あ、あははは……」

「それに、きっとこういう機会を作ってくれたんでしょ? ホントにありがとう」

「ば、バレてました?」

「バレバレだよ」

「うーん、さすが立花さん……」

「一緒に働いて長いからね。ほら、行くよ二人とも」

「は、はい!」

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