「好きです! 付き合ってください!」
告白はいつだってドキドキする。素敵な彼氏を作って、素敵なデートをして。そんな毎日を夢見ている。
「……ごめん」
「がーーーん!」
でも、そんな毎日を掴むことは簡単じゃない……。
「何? 瑠愛、またフラれたの?」
「うん……」
「瑠愛、今年になって半年で10人好きになって、10人に告ってない?」
「だって、好きになっちゃうんだもん……」
わたし、宮野瑠愛、15歳。昔から惚れっぽい性格で、ちょっとでも好きになったらすぐに告白してフラれることを繰り返してきた。幼稚園から高1になって、告白が成功したことはない。
「ホント、瑠愛って惚れっぽいよねえ。そんなんだから彼氏できないんじゃない? そりゃあ、うちは異様なイケメン率だけどさ」
友だちのクール系の翼ちゃんがキャンディを口の中で転がして、呆れながら言う。
「うう……」
たしかに、わたしのことを知っていた人からは「お前の本気がわからない」と言われたことがあった。そのとき、何も言えなくなったことも……。
「そもそも瑠愛って、好きなタイプってなんなの?」
「それはもちろん、イケメンで、かっこよくて、優しい人だよ!」
「はあ……。瑠愛ってホント、少女マンガ脳だよね……」
「うっ……」
「高校生にもなって、恋に夢見る少女はちょっとヤバくない?」
恋に夢見ている、か……。うう、ごもっともな意見をずばりと言われてしまった。
「おっ、優希からラインだ。『うん、一緒に帰ろ』っと」
翼ちゃんは優希くんという、他校にいる彼氏がいる。何度か翼ちゃんと一緒に遊んだこともあるけれど、イケメンでいい人だ。
仲もよくて、彼氏ができたら翼ちゃんたちみたいなカップルになりたいな。
そのためには──
「翼ちゃん……」
「ん? 何?」
「わたし……がんばる。わたし、この惚れっぽい性格直すよ!」
「お? 本気、それ?」
「うん……! だって、本気に彼氏がほしいもん!」
「お、おお。まあまあ動機が不純だけど、いいきっかけだよ。がんばれ!」
「うん!」
この恋愛体質をどうにかしないと一生彼氏なんてできっこない。
よしっ、がんばるぞ!