「あっ、翼ちゃん!」
「瑠愛! よかったー、心配したんだよ」
保健室から出て、すぐのところで翼ちゃんと出くわすことができた。
「ケガは? 平気?」
「うん、少し休んだらよくなったよ」
「そっか、よかった……。もう、瑠愛は相変わらず鈍いんだから」
「心配かけてごめんね」
「いいよ、無事ならよかった」
「うん……。あ、保健室に戻っていい? 保健室で大神先輩が寝てるんだ」
「大神先輩? ああ、別にいいけど……。なんで? 大神先輩も体調悪かったの?」
「え……あ、うん。そんな感じ、かな」
どうせ言っても信じてもらえないだろうし、言えるはずもない。
そういうことで保健室に戻ってみると、大神先輩の姿どころか南央先輩もいなくなっていた。
「あれ? 誰もいないじゃん」
「おかしいな……ついさっきまで寝てたのに」
試合に戻ったのだろうか。そう思って保健室を出ると、ちょうど大神先輩とばったり出くわした。
「あっ、大神先輩! よかった、起きたんですね」
「あ、ああ」
「コイツが着替えたいって言うから、ロッカーに行ってたんだよ」
「ああ、そうだったんですね」
そっか、なんともなさそうでよかった。
「あ。そういえばもうサッカーの試合って終わっちゃったんですよね? ごめんなさい」
「ん? ああ、大丈夫。ちょっと時間遅らせてもらったんだよね」
「え、そうなんですか?」
「うん。そうだ、なんだったら観てってよ。オレら、絶対優勝するし」
「そうだなぁ、あたしもバスケ終わったし。ね、一緒に観よう!」
「う、うん」
「よっしゃ、女の子ふたりゲット。燃えるわー」
「本当に単純だな、お前は……」
ということで、先輩たちの試合を観ることになった。
グランドに向かうと、午前の部の試合はサッカーのみとなり、観客の数がすごいことになっていた。
「うわ、すごいね」
「うん……」
タイミングよく最前列で観ることができたことはいいけれど、押し出されそうだ。なんとか倒されないよう、踏ん張る。
こっちはこっちでの戦いがあるなか、コートのなかでも試合がはじまった。