手袋は片方だけで
綱海条介×立向居勇気




ひゅう、と失敗した口笛のような音をさせながら、風がオレの前髪を揺らした。

「さぶいさぶい!!」

もう無理!寒いのマジ無理!沖縄帰りたい!なんていいながら、オレの隣で綱海さんはマフラーに顔をうずめた。(オレよりも大きな体を縮こませて必死に腕をこする仕草が、なんだか面白い)

「…あれ?綱海さんって、寒くても手袋はしないんですか?」
「てぶく、ろ?」

剥き出しのままの、少し紅くなった彼の手元を見つめて問い掛ける。
けれど、初めて言葉を教わった子供のように頭に「?」をつけて、彼は逆に問い返した。
これですよ、とオレは毛むくじゃらな両手を彼に見せ、ちょっぴり優越感に浸ってみる。(いつもはオレが教わってばかりだから、ねっ)

「へぇ、初めて見た」
「じゃあつけてみますか?」
「いいのか?」
「はい」

右のけむくじゃらを外し、彼へと渡す。そんなオレの素肌を、先ほど前髪を揺らしたへなちょこ口笛が滑っていった。

「…あ、でも片方だけでいいや」
「え?」

左の毛むくじゃらを外そうとした右手を突然掴まれて、そのまま彼のポケットにダイブ。
突然の事にびっくりして顔を上げると、へなちょこ口笛のせいで色付いたであろう頬の彼は嬉しそうにはにかんでいた。



「ほら、こうすれば2人ともあったかいだろ?」





《手袋は片方だけで》



(オレの頬が紅いのも、きっとへなちょこ口笛のせい)



Fin.



立向居右側企画という、ポプラさんの素敵な企画に参加させていただきました^^*
お題冬なのにもう立春を過ぎたとか言わないで!←

ありがとうございましたっ!!


20110214
※無断転載厳禁


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