知らない感情
綱海条介×立向居勇気
「なぁ」
キャラバンの外で毛布に2人でくるまって星を眺めていたら、綱海さんがこちらを見ずに話しかけてきた。
なんですか?と小さな声で聞き返したら、ゆっくりと夜の闇よりも黒い(でも、怖くない)瞳を向けられた。
そこには、ほんの少しだけ綱海さんらしくない<不安>の色があって。
どうしたのか聞こうとしたけれど、綱海さんの言葉をじっと待つ。
――しばらくして、綱海さんが口を開いた。
「本当に、円堂のことはいいのか…?」
「え?」
どうしてここで円堂さんが出てくるのかわからなくて、オレは目をぱちぱちとする。
「無理させてるんじゃねぇかって、思って…」
視線を逸らして呟くように言ったその言葉で、オレはようやく理解した。
(あぁ、本当に、この人は、)
「ばか、なんですから」
「…は?」
ふぅ、と溜め息混じりにそう言うと、オレの反応が予想外だったらしく綱海さんが間抜けな声を出した。
「確かに、今でも円堂さんのことは好きですよ」
「じゃあ……っ!」
静かな夜には大きすぎる声を出した綱海さんの唇に人差し指を当てて「皆さんが起きちゃいます」と制し、言葉を続ける。
「でも、それは、憧れとか、尊敬からくる好きで」
(綱海さんに対する好きとは、違ってたんです)
そっと人差し指を離して微笑むと、軽く顎を持ち上げられて触れるだけのキスを落とされて。
離れようとした唇を追いかけるように綱海さんの頭に手を伸ばし自分からキスをすると、綱海さんは少し驚いたようだったけれど応えるように今までで一番甘くて深いキスをくれた。
《仲間を思う大切さを教えてくれたのは円堂さんだけど、誰かを想うという知らない感情を教えてくれたのはアナタだった》
(これからも知らない感情を教えてくれるのは、アナタでいて欲しい)
Fin.
In front of goalnetさまに提出させて頂きました!
お題⇒知らない感情
……………
こんにちは!水玉水恋です^^*
今回はGK受けという素敵な企画に参加させて頂きましたっ!
たくさんの方の素敵な作品もお目にかかれて凄くたのしかったです^^*
関わってくださった全ての皆さんに愛を込めて…!
ありがとうございましたっ\(^o^)/綱立らぶっ←
Avec toi 水玉水恋
20100115
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