ずっと一緒に(サンプル)


  *注意


・6年後設定(遊馬:19歳、凌牙:20歳)
・シャークさん先天にょた
・一部カイ凌要素あり






 OKの方は次ページからどうぞ。

































 中学高校を卒業後、凌牙は大学に進学し遊馬はプロデュエリストの道を歩み始め最近ようやく一人前のプロとしての実力が認められつつある。
 そしてシャークと付き合ってから六年経った
 
六年間楽しいことばかりじゃなかったけれど、喧嘩して傷付け合ったことも何度もあったけれど、それでもシャークが大好きだってことは変わらないしこれからもずっとずっと一緒にいたいと思えた。
 だから、
「シャークにプロポーズしよう」
 
そう決心したのが二ヶ月前のことだ。で、今――

「あれ? っかしーな……」
 遊馬は机の上にばらまかれた貯金箱の中身に首を傾げる。『婚約指輪は給料三ヶ月分』ということで先々月から給料をこの貯金箱に入れていたのだが、つい先日大きなリーグ戦に備えてカードを新調したこと、そのリーグ戦で運悪く一回戦目に前優勝者である大ベテランと当たってしまい見事惨敗したこと、このリーグ期間他の試合がほとんどないことが重なり思った以上に貯まっていなかったのだ。
「こんなんじゃいい指輪買えねーじゃん、一ヶ月後の今日――六年前シャークに告白した日にプロポーズするって決めてたのに……」
 はぁ、と遊馬は天井を見上げる。どうしても来月指輪を買うにはもう「これ」しかない。

***

「――――ごめん! そういうことだから今月あまり会えない!!」
 喫茶店の向かいの席で両手を顔の前で合わせて謝る遊馬に、それまで黙って話を聞いていた凌牙は飲んでいたコーヒーカップを置き小さくため息をついた。
「…………わかった。それにしてもカードを買うためにバイトをするのはプロとしてどうなんだよ。」
「う、それはこっちにもいろいろ事情があるんだよ!」
「へー、それは大変だな」
 凌牙は涼しい顔でまたコーヒーを口にした。
指輪のことを話すわけにもいかず凌牙には『新しいカードを買うためにバイトを始める』と嘘をつくことにした遊馬は気まずそうに水を飲んだ。
「じゃあ、そういうことだから!」
「おい、バイトって今からか?」
 立ち上がろうとする遊馬に凌牙は怪訝な顔で訊ねる。
「そうだけど――どうして?」
「いや、何でもない。俺ももう行く」
 そう言うと凌牙はカップに僅かのコーヒーを残して席を立った。
「シャークはこれから大学?」
「ああ、学会の準備があるんだ」
「へー、シャークも大変そうだな」
「まったく、卒論もあるのにやってられないぜ」
 凌牙が嘆息する一方で、遊馬は会話のある部分が気になった。
「あれ、卒論? シャークの大学ってたしか四年制だよな?」
「ん? あぁ、大学飛び級したからな」
 事もなげに言う凌牙に遊馬は手に持っていた雑誌を落とした。
「と、飛び級ぅ〜〜!!」
「馬鹿、街中で大声出すな!」
 驚きのあまり叫ぶ遊馬の腹に凌牙が裏拳を一発食らわせた。
「〜〜っつー、ごめんごめん。でもオレ飛び級なんて話聞いてないけど……」
「言ってもどうせわからないだろ」
「そうかもしれないけどさー」
凌牙にそっけなく返され、遊馬は頬をふくらませた。
 いつのまにか凌牙の通う大学の門が目の前に迫っていた。
「じゃあシャーク、卒論頑張れよ」
「お前もバイトでヘマするんじゃねーよ」
 そう言って門の中の人ごみに消えて行った凌牙を見送った後、遊馬は急いでバイト先に向かった。

 バイトというのは徳之助に教えてもらった期間限定の裏方作業のようなものが二つで、少々ハードだが時給がなかなか良く何より遊馬のようにある程度顔が知られた人間でも周りの目を気にせず働くことができるといううってつけのものだった。
 その日はバイト初日ということで現場の責任者から一通りの説明を受けてから仕事を始めた。
(シャーク、いい指輪買ってくるから待ってろよ)
遊馬は心の中で呟きながら作業を続けた。





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