Act. 20 *空中散歩*
『・・・気持ち良い〜。』
ビュンビュンと体を滑る風の感覚・・・。
先程のモヤモヤした気持ちは何処へ行ったのか。
風が一緒にあのモヤモヤも吹き飛ばしてくれたようだ。
『デイダ・・・ッ////!!!!』
話し掛けようと後ろに首を向ければ思っていたよりも至近距離で・・・
『ご、ごめん////!!!!!』
慌てて体を離そうとするが・・・
デイダラ「逃げんなよ。うん。」
デイダラは少し不機嫌な表情を浮かべた後に、あたしのお腹に腕を回しギュッと抱き締めて来た。
『っ/////!!!!』
肩にはデイダラの顔が有り、身動き一つ出来ないくらいに身体が密着してしまった。
『で、デイダラ/////!!!!!近いよ/////!!!!』
デイダラ「・・・別に問題ねェだろ???うん。」
『問題どうこうって言うか・・・////。』
そういう問題では無いのだ。
こんなに密着されて平常心で居られる人がどのくらい居るだろうか。
ましてや、相手が美形の男性となれば尚更だ。
先程から心臓が飛び出しそうなくらいにドキドキして仕方がない。
デイダラ「どうこうって言うか???何だい???」
『・・・その////。』
デイダラ「???」
『な、何でもない/////。』
意識していると思われるのが恥ずかしくて、そんな事言えない。
あたしは真っ赤であろう顔を隠すように俯いた。
デイダラ「何だよ???気になるだろーが。うん。」
『た、大した内容じゃないから/////!!!!』
デイダラ「・・・もしかして、照れてるのかい??」
『〜っっ////!???』
ずばり本音を言い当てあれ、肩がビクリと跳ねてしまった。
勿論、デイダラが見過ごす筈もなく・・・
デイダラ「図星か。うん。」
『なっ/////!???』
デイダラ「こんなんで照れちまって可愛いなぁ〜???うん???」
『照れてなんか・・・・////!!!!』
デイダラ「なら、此方に顔を向けろよ。」
『や、やだ////!!!!』
肩越しにクツクツと喉を鳴らして笑っているのが伝わって来る。
きっと、口角を上げてニヤニヤしながらあたしを見ているのであろう・・・。
デイダラ「リク、此方向けって。うん。」
『向かないっっ/////!!!!』
デイダラ「ほら、リク。」
『向かないったら、向かないもんっっ////!!!!!』
デイダラ「・・・仕方ねェなぁー。」
ー諦めたのかな・・・???
と、思ったのも束の間・・・
顎を掴まれ強制的にデイダラの方へと顔を向けさせられた。
『あっ////!???』
パチッとデイダラの綺麗な青い瞳と目が合い、カァッと先程よりも顔が熱くなるのを感じた。
デイダラ「真っ赤じゃねェか。うん。」
『〜っっ/////!!!!!!!』
羞恥から上手く言葉が思い浮かばず、しどろもどろしてしまう。
『あの、えっと・・・/////。』
デイダラ「クク、本当に見てて飽きねェな。」
『もう/////!!!!』
デイダラ「怒んなって。うん。」
デイダラはあたしの頭をくしゃくしゃと撫でるとおでこをコツンとぶつけてきた。
『っ////!???』
鼻と鼻がぶつかりそうな至近距離にデイダラの顔があって、心臓がドクンドクンと鳴り響く。
『で、デイダラ///????』
デイダラ「・・・元気出たみてェだな。うん。」
『え???』
デイダラ「安心した。うん。」
優しい顔をして、あたしを見るデイダラに胸が温かくなる。
やっぱり、デイダラは優しい・・・。
『ありがとう////。』
デイダラ「いーえ。」
『お礼に今日は夕飯にデイダラの食べたいもの作るぞ。うん。』
デイダラ「コラ、口真似すんな。うん。」
『へへ〜。』
デイダラ「ったく。」
『ねぇ、何が良い〜????』
デイダラ「・・・じゃあ、コレが良い。」
『え、コレって???』
首を傾げるあたしに、デイダラはニッと笑いを溢すとスッとあたしの視界から消えた。
直後に首もとにデイダラの髪が掠め、チュッとゆう音と共に頬に熱が伝わってきた。
『えっ///!??い、今///!???』
ーキスされた!???
驚いて頬を抑えながら、デイダラを見るが・・・
デイダラ「うん???頬にチュウ????」
当の本人は涼しい顔をしてしれっと答えるだけであった。
デイダラ「お礼はコレで良いよ。うん。」
『お礼にも何にもならないじゃない////。』
あたしの頬にチュウしたところでデイダラが得するとは思えない。
デイダラ「・・・口にしときゃ良かったか???」
『ち、違う////!!!!!そうゆう意味じゃない////!!!!』
デイダラ「素直に言ってくれれば、オイラはいつでも・・・」
『だから違うってば////!!!!』
デイダラ「リクがお望みなら。」
『もうっっ/////!!!!サソリといい、デイダラといい・・・////。』
デイダラ「・・・え、旦那???」
『あー・・・、うん。サソリも同じような事言った事があったから。』
今朝であったとは何となく言いずらく、誤魔化してしまった。
デイダラの今朝の様子に引っ掛かっていたからかもしれない。
デイダラ「・・・ふぅん???あの旦那がねェ・・・。」
『???』
デイダラ「・・・。」
唇を噛み締めて、何処か不機嫌そうな表情を浮かべるデイダラ。
一体どうしたと言うのだろうか。
何か気に障る事でも言ってしまったのだろうか・・・・。
『デイダラ???』
デイダラ「・・・うかうかしてらんねェな。」
『え???』
デイダラ「いや、何でもねェから気にすんな。うん。」
『・・・うん。』
苦笑しつつも笑顔を向けるデイダラに胸が苦しくなる。
明らかに様子が可笑しいのは確かだが・・・
・・・聞きずらい。
もしかしたら、今朝の事と関連しているかもしれない・・・
そう思うと聞くに聞けない・・・。
力になりたいと思うのに何も出来ないのが歯痒い。
今朝、サソリが言っていたのはこうゆう気持ちなのかもしれない・・・。
『デイダラ。』
デイダラ「ん???」
『・・・よしよし。』
腕を伸ばしデイダラの頭をぽんぽんと撫でる。
一瞬驚いた表情を浮かべたデイダラだったが、直ぐにフッと笑いを溢した。
デイダラ「餓鬼扱いかよ???」
『ううん、違うよ。でも・・・』
デイダラ「でも・・・???」
『急にこうしたくなったから。』
デイダラ「・・・そっか。」
『うん。』
デイダラは目を綴じるとあたしの肩に頭を預けた。
デイダラ「暫く、肩貸して。」
『うん。』
やはり、何か辛いことがあったのかもしれない。
あたしにはこんな事しか出来ないから。
だから、力になれるなら・・・・
出来る事があるなら、何でも全力でやろうと思う。
早くデイダラが元気になる事を祈りつつ、あたしも目を綴じた。
〜Fin〜
2013.7/23
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