「好きだ」
いきなり森に呼ばれて来たら、
僕を呼び出した本人、ドラゴンが僕をじっと見つめてそう言い放った。本当にいきなり
「嘘でしょ?」
あまりにも急すぎて思わず苦笑いを溢して見たら、少し彼の顔が険しくなった
「嘘じゃない。」
「いや嘘だって」
「何故そう言い切る?」
彼の言葉をまた否定すれば、
今度は腕を組んで表情は変わらず険しいまま。
だって、君からそんなこと言い出すなんて。
何か罰ゲームでもやらされてるとしか思えないもん。
「俺は達也に信用されてないってことか?」
「そういう訳じゃないけど…」
どちらかと言うと本当であってほしいなって淡い期待。
まあ、本人は本当だって言ってるけどね…。
どうにも普段の彼からは想像出来ないし、そんな会ってるわけでもないしさ。それで信じろってちょっと難しいよ。
「俺がお前に嘘付く必要がどこにある。」
しかめたと思えば、直ぐ表情を戻して、そこからは彼の考えが全く読めない。
「じゃあ証拠、見せてよ」
「………。」
早く嘘だって言ってくれていいのに…、
ちょっと僕はムキになってそう言うと、彼は少しの間考え込む。
そして途端、僕の方へ歩み寄ってきた。
「達也、目を瞑ってくれ。」
「え…、うん…。」
真剣そのものの眼差しで僕を見つめるドラゴン。その気迫に押されて僕は恐る恐る彼の前で目を瞑った
真っ黒になった視界。
ザワザワと森のざわめきだけが耳を霞める。
「何をっ…」
静かだから思わず口を開こうとした瞬間、ふと僕の唇に柔らかい感触。
そして反射的に目を開けば
間近にドラゴンの顔が。
「目を瞑れと言っただろう…」
「え…今の……えっ!!?」
それに気付いたドラゴンがゆっくり僕から顔を離す。
そして驚きでドラゴンから目が離せない僕とは逆に彼は視線を外し、ボソボソと口を開く
「これで、嘘じゃないって判ってくれたか…?」
僕に顔を向けることはなく
表情がどうなっているのかは判らない。けど耳がとてつもなく真っ赤になってて。
「…ふふ、わかった。信じるよ。」
そんな柄にもないドラゴンを目の当たりにして、僕は思わずほくそ笑む
「僕もドラゴンが好きです」
もちろん、嘘じゃないよ?
嘘?本当?
彼の本気に惚れ直したのは秘密
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