「いけません王妃様」
『どうしてよ』
「国王様の許可なしに王妃様を通すことはできません」
『王妃命令よ、通しなさい』
「しかし…」
「せめて護衛を付けて下さい」
『いらないわよそんなもの』
王宮の入口で兵士と口論を繰り広げるユリア。
行き先も告げずとにかく外へ出ると言い張るユリアに、王国兵達もすっかり困り果てる。
『もういい、他の道を探すわ』
ぷぅと頬を膨らませズカズカとその場を去るユリア。
王国兵もやっと王妃の説得から免れたと安堵の息をもらした。
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「ジャーファル!ジャーファル!」
「何ですか朝から」
一方王宮では、目覚めてからユリアの姿が見えないとシンドバッドが城を駆け回る。
「ユリアがいない」
「…はい?」
「城中捜したがどこにもいない。今朝早く門番に外へ出せと言っていたようなんだが…」
「アトヌス王国でもよく脱走していたようですからね…手の空いている者達で街を捜してきます」
「俺も行こう」
「王は城で待っていてください。ユリアが戻ってくるかもしれませんし」
「………」
がっくりとうなだれるシンドバッドを余所に、ジャーファルは八人将と共にユリアの捜索へと城を出た。
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