友情

華代の病院に通い初めてから1週間が経った頃。
バスから降りた僕は、外灯に照らされた帰り道をゆっくりと歩いていた。
今日、病室で華代の両親から聞いた話を思い出す。

―――華代は周助君に逢ってから、なんだか明るくなったのよ。

―――手術の事を知ってから、あの子は私たち両親とあまり喋ろうとしなかったのに、自分から話すようになったの。

華代の母親の言葉が耳に残る。
それを聞いた時は嬉しかったけど、同時に切なさも込み上げた。
僕が華代を幸せにしたかった。
もっと一緒にいたかった。
華代と一緒にいられたのは、たったの半年。
でも人生で最も色濃い時間だった。
一生涯、絶対に忘れられないだろう。

帰宅すると、アルバムを開いた。
これは華代と一緒に遊園地に行った時の写真だ。
笑顔で写っている君を見ると、また涙が出る。

逢いたい――

あの綺麗な笑顔で、また僕に笑いかけて欲しい。
あの綺麗な瞳に、また僕を映して欲しい。

逢いたい。
夢でもいいから君に逢いたいよ。
この胸の苦しみは、何時か消えてくれるのかな。

涙も止まった頃、家のベルが鳴った。
時計を見ると、夜の8時だ。
もうこんな時間なのに、誰だろうか。
きっと母さんが姉さんが対応してくれるだろう。
適当にそう考えながら、大事なアルバムを片付けようと立ち上がった、その時。
僕の部屋がノックされた。

「?」

愛が届いたばかりの郵便でも持ってきてくれたのかな。
何となしにドアを開けた時――僕は思い切り殴られた。





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