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俺とフレッドの寝室は二人部屋だ。
昨年度までは、通常通りの五人部屋だった。
俺たち双子の発明でリー・ジョーダンのベッドやトランクを燃やしてしまったのをきっかけに、二人部屋に隔離された。
発明家の俺たちにとって、二人部屋は好都合だ。

談話室から寝室へと戻った俺たちは、部屋を消灯して、ベッドで掛け布団を肩の下まで被った。
俺の顔の傍には、あの猫が丸くなって眠っている。
ふわふわの毛並みが気持ち良くて、今日は良く眠れそうだ。
同室のフレッドがからかいの口調で言った。

「アフロディーテって名前付けろよ」
「しつこいぞ、相棒」

猫が起きるだろ。
俺は眠っている猫と向かい合った。

こんなに綺麗な猫を見るのは初めてだ。
アフロディーテの髪色と同じアッシュブロンドの体毛と、レイブンクロー色の瞳。
こんな偶然、あり得るか?
もう消灯時間を過ぎているし、アフロディーテはレイブンクローの女子寮で眠っている頃だろう。
この猫はアフロディーテの姿を真似した魔法生物かもしれない。
でも、もしかしたら――
色々な憶測が頭の中を飛び交った。

明日になったら、またアフロディーテに話しかけよう。
もっと仲良くなって、もっと近付きたい。

―――ジョージってアフロディーテを狙ってたの?
―――ジョージはアフロディーテにお熱だからな。

恋をした事はない。
これが恋なのか、まだよく分からない。
それでも、今までとは違う自分がいる。
間違いなく、アフロディーテのせいなんだ。

朝になると、猫はいなくなっていた。



2019.6.17




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