強引な友人

期末テストを明々後日に控え、あたしはまたあのメンバーと勉強会をしていた。
一昨日の放課後に越前君に振られた朋ちゃんは、今朝にあたしに泣きついてきた。
それでも如何しても諦めがつかず、これからも好きでいるのだと懸命に話していた。
それなのに越前君ときたら…

―――別に。

別にって何よ、別にって!
あたしは斜め前に座る越前君に怒りの念を飛ばしながら、数学の教科書をベシッと捲った。
隣の桜乃ちゃんがあたしの異変に気付いた。

「愛ちゃん如何したの…?」

『あ…ごめんね。

ちょっと嫌な事℃vい出しながら苛ついちゃった。』

桜乃ちゃんは朋ちゃんの告白の件を知らないし、朋ちゃん自身も話すつもりはないらしい。
越前君は嫌な事≠フ内容に自分が含まれているのを分かっていながら、勉強に集中している振りをしている。
それがまた苛ついて、足を踏んでやろうかと思った。
あたしはピンクゴールドのお馴染みの腕時計で時間を確認した。
もうすぐ勉強を始めて30分が経つから、そろそろテニススクールに向かおう。
すると、朋ちゃんが嬉しそうに切り出した。

「ねえ愛、明日はテニススクールが休みなのよね?」

『え、如何して知ってるの?』

あたしはきょとんとした。
明日はテニススクールの運営会社が創立記念日とやらで、全校休館だ。
このメンバーには誰にも話していなかったのに。

「愛と同じテニススクールの子が言ってたの。」

同じテニススクールに通っている子は、青学に数名いるらしいのは知っていた。
誰かは分からないけど。

「それでね、明日は土曜日だし、皆で自習カフェに行かない?」

自習カフェ?
一般的なカフェでは基本的に長時間の勉強が禁止だ。
朋ちゃんが言うには、自習専門のカフェが駅前に出来たらしい。
とても落ち着いた雰囲気で、ウッド調のカフェなのだという。
丁度明日が開店日で、朋ちゃんは前々から気になっていたらしい。

「七人で予約したから、皆で放課後に行くわよ!」

あたしの手からシャーペンがずり落ちた。
3年トリオが朋ちゃんの提案に賛成し、桜乃ちゃんもにこやかに頷いた。
あたしが越前君の顔を見ると、仕方ないなと呟いた。
まさか、皆してオッケーなの?
先約とか入ってない訳?
三度目の失恋を乗り切ろうとしている朋ちゃんは大喜びの様子だ。

「じゃあ決まりね!」

ちょっと待って!
あたしはガタッと立ち上がった。

『明日はデートなの!』



2018.5.23




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