威圧

翌日。
私たちは殺生丸さまを先頭に、変わらず森の中を歩き進めていた。
不意に何かの音が遠方から聞こえた。
じっと耳を澄ませると、その正体が分かった。

『せせらぎの音がしますね。』
「りん、水浴びしたい!」
『私も。
それに竹筒に水を汲みたいです。』

妖怪である殺生丸さまや私は人間と違い、そう簡単には汚れない。
水分補給の数も、人間より少なくても平気だ。
けれど、りんは人間の女の子だ。
りんの為にも、竹筒の水は一杯にしておきたい。
きっと食糧になる魚もいるだろう。
邪見さまが面倒臭そうに不満を言った。

「阿呆、寄り道なんぞする暇はないわ。」
「邪見、黙れ。」
「はっ…!」

邪見さまは簡単に頭を下げた。
殺生丸さまには逆らえない様子だ。

『なるべく早く戻ります。』
「行ってきまーす!」

りんが元気に走り出した。
私もその後を追おうとしたけれど、その前に立ち止まった。
振り返り、男性二人を満面の笑みで威圧した。

『覗いたら殺します。』

殺生丸さまは無表情な一方で、邪見さまは真っ青になった。
私は踵を返し、早足でりんを追った。
水浴びが楽しみだ。



2018.2.27




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