粘土のせい

サソリと共に鳥型粘土に乗るデイダラは、ずっしりと落ち込んでいた。
宿を出た初日から、雅がいないからだ。
別行動に肩を落とすデイダラに、サソリが文句を言うような口調で言った。

「潜入捜査は雅が得意なんだ。
仕方ねえだろ」
「分かってるよ…うん」

今日、雅は三人で狙うターゲットの所持する城に潜入している。
一族を売買した証拠となる巻物や、売れば金になりそうな物資を確認する為だ。
雅の能力は二年前に直接戦ったデイダラがよく理解しているつもりだった。
潜入捜査は任せて問題ない。

一方のデイダラとサソリは城の周辺を飛んでいた。
城に向かう家臣を脅し、いつ何処にターゲットがいるのかを聞き出しては殺すのを繰り返した。
退屈な作業だが、雅が帰ってくると思えばなんて事はない。
デイダラは笠に手を遣り、ふと空を見上げた。
陽が沈み始めている。

「もう情報収集は充分だろ。
そろそろ町に行こうぜ、うん」
「宿を探さねえとな」

雅と待ち合わせたのは、此処から最も近い国だ。
大国とは言えないが、繁栄している国だと聞いた。
上空から侵入する予定だ。
宿泊場所探しは勿論だが、二人は様々な生活必需品の調達もしたかった。
繁栄している国というなら、小国よりも手に入り易いだろう。
変化の術を使って化ければ、国に入るのも問題ないだろう。
基本的に野宿が多いが、今日は女の子の雅がいるのだ。
宿泊場所は必ず見つけなければ。

「良質な粘土が取れるっていう山が国内にあるらしいぜ」

其処が雅との待ち合わせ場所だ。
デイダラは其処で粘土の採掘をするつもりだ。

「俺は行かねえからな」
「旦那は宿でのんびりしてな」

生活必需品などの調達が終われば、すぐに山へ向かおう。
雅を宿で待ち惚けしていると、頭が可笑しくなりそうだ。
今夜、雅とどうなるのかを考えてしまうのが目に見えている。

―――私の純潔はデイダラのものですから。

「何も考えるなオイラ…」

デイダラは額に手を置き、深呼吸した。
とにかく、町へ向かおう。





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