木ノ葉からの奇襲

木ノ葉からの追っ手は四人。
大した事はないと思っていたのに。
手を出すなと角都に言ったのは飛段自身だが、この有様だ。
シカマルと呼ばれた忍に呪いを外された挙句、影で全身を突き刺され、拘束されている。
賞金首である猿飛アスマの心臓を、あと一歩でひと突きに出来たというのに。
アスマが足を引きずりながら、チャクラを纏った刃物を持って、ジリジリと歩いてくる。

「角都!手を貸せェ!!」

札束の入ったアタッシュケースを片手に持つ角都は、黙ったまま傍観している。
たまには飛段にも痛い目に遭って貰おうと思っているのだ。
今後の賞金首狩りに非協力的では困る。
しかし、飛段とアスマの間を黒衣の人物が立ち塞がった。
その人物の予期せぬ登場に、角都と飛段は流石に驚いた。
戦闘を長引かせてしまった飛段は、その背中に舌打ちをした。

「お前…先に行けって言ったろーが」
「あまりに遅いので、気になって引き返しました」

先に行った筈の雅が、そこにいた。
足を止めたアスマは、突然現れた人物を睨んだ。
女は黒衣のフードを目深に被っていて、その顔が見えない。
雅はアスマを見据えながら、角都に冷たい声で言った。

「角都さん、何故立っているだけなんですか」
「手を出すなと言ったのはソイツだ」
「だからといって見ているだけですか」

角都は返事をせず、黙考した。
このままでは、雅が戦闘に加わりかねない。
雅の正体が木ノ葉の忍に知られるのは面倒だ。
ターゲットの始末に支障が出るかもしれない。
飛段もそれを理解しているからこそ、雅の名を安易に口に出したりしない。
雅の血継限界を知られる前に、この状況を打開しなければ。
角都は雅を小さく手招きした。

「来い」

少しばかり躊躇った雅は、仕方なく瞬身の術で角都の隣に立った。
術の発動に限界が来ているシカマルは、この好機を逃してはならないと思った。
アスマに向かって叫んだ。

「アスマ、殺れ!!」

角都は咄嗟に雅の肩に腕を回すと、その手で雅の視界を塞いだ。
雅は角都の手の下で目を瞬かせた。

「角都さん?」
「見るな」

飛段の首が、アスマに跳ねられた。





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