ただいまの口付け

デイダラが目を覚ました時、雅はいなかった。
まだ朝早いというのに、何処へ行ったのだろうか。
とりあえず寝起きの頭でぼんやりと歯磨きだけを済ませてから、敷き布団の上に腰を下ろした。
雅を探しに行ってはいけない気がして、ただその場で待った。
ドアが静かに開かれると、デイダラは穏やかに言った。

「おかえり、雅」
「デイダラ…」
「泣いたのか?」

デイダラに迎えられた雅は慌てて俯いた。
ドアの前で立ち尽くしていると、デイダラが立ち上がった。

「何も聞かねえから」

雅が小さく頷くと、デイダラに強く抱き締められた。
愛する人の温もりに、張り詰めていた心が解れてゆく。

「もう少し寝るか」
「そうします」

二人共、寝不足だ。
一緒に布団に入り、寄り添い合った。

「今日から任務ですか?」
「まだ分からねえ。
ペインから何も連絡が来てねえからな」

空気を読んでいるのかもしれない。
雅はデイダラと間近で見つめ合った。

「もし任務がないなら、一緒にいてくださいね」
「当然だろ」

デイダラは雅の目元に唇を落とした。
心が脆くなっている雅の傍にいたい。

「デイダラがいてくれて良かった」
「うん?」

雅はデイダラの頬に手を添えた。
優しい色をした目が見つめ返してくれる。

「あの……キス、したいです」
「な、急だな…うん。
オイラまだ酒っぽいぞ?」
「…駄目ですか?」
「駄目な訳ねえだろ」

デイダラは上体を起こし、雅に覆い被さった。
雅が頬を赤らめながら微笑んでくれる。

「軽く?それともがっつりいくか?」
「デイダラのお好きに」
「なら、がっつりだな」

デイダラは愛しい女に唇を重ねた。
初めは優しく、徐々に深く。
愛しいという気持ちを込めて。



2018.9.10




page 1/1

[ backtop ]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -