消息不明-2

―――お前には一尾を封印する場所を教えておく。
封印には三日三晩を要する。
その間に木ノ葉や砂の忍からの奇襲が考えられる。
もし駆け付けられるようなら、手を貸してくれ。

雅はペインの台詞を反芻しながら、凍り付いたターゲットの心臓を無慈悲に刀で突き刺した。
地下空洞に潜伏していたターゲットを発見したのは、ペインと話してから一ヶ月以上が経過してからだった。
今回のターゲットは非常に警戒心が強く、雅も徹底的に姿を隠しながらの隠密行動となった。
返り血を浴びる事なく全てを終えると、氷点下の氷世界が元の岩壁へと戻った。

残りは一人、か。

雅はターゲットを封印した巻物をウエストバッグに入れると、地下空洞に繋がっていた洞窟から外に出た。
不意に強風が吹き、雅の黒衣のフードを脱がせた。
脳裏に浮かんだのは、愛する人の顔だった。

「――デイダラ」

何かが起きている。
雅は直感でそう悟った。
空に高々と昇る太陽を見上げ、眩しさに手を翳した。
デイダラは何処にいるのだろうか。
雅が隠密行動に徹していたせいか、暁からのコンタクトがない。
ゼツが雅を見つけられなかったのだ。

焦燥感が怒涛のように押し寄せ、雅は寒気がした。
一族特有の体質のせいで、寒気など殆ど経験した事がないのに。
バッグの外ポケットに入っていた御守りを取り出し、大切に掌に載せた。
デイダラがくれた鳥型粘土だ。

「デイダラ…」

もう一度だけ名前を呼んだ。
ペインが教えてくれた場所へ、一刻も早く行かなければならない気がした。
雅は掌から氷のハヤブサを作り出した。
限界まで高速飛行する際、雅は白鳥ではなくこのハヤブサを作り出す。
雅がその背に跳び乗ると、ハヤブサが逞しい氷の翼を広げ、急上昇した。



2018.9.10




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