任務開始-2

「まさかこんな事に医療忍術を使う日が来るなんて…」
「いいじゃねーか」

デイダラはククッと笑った。
雅はあまりの身体の痛みで、医療忍術を使ったのだ。
二人はサソリを待たせないように、早めに待ち合わせ場所の神社にやってきた。
鳥居の前で鳥型粘土を待機させながら、サソリを待っている最中だ。
無人の神社は長らく手入れされておらず、草木が有りのままに生い茂っている。
人の滅多に立ち寄らない場所となっていた。
デイダラは呆れた表情をする雅の横顔にズイッと近付いた。
月明かりに照らされた芸術的な顔を見つめながら、口角を上げた。

「今夜はどうする?」
「……」

頬を赤らめた雅は、デイダラの頬を手でググッと押し退けた。

「サソリさん、ご苦労様です」
「何してやがる」
「旦那か」

デイダラはあからさまに不機嫌な顔をした。

「サソリさんを待たせないように早く来たんです」
「ほう…」
「オイラは眠いぜ」

サソリは感心したが、大方雅がデイダラを引っ張って来たのだろうと思った。
実際にその通りだった。
三人は森の中の道を歩き始めた。

「私の次のターゲットが偶然通りかかったので、先に始末しておきましま」
「そうか、早かったな」

別の意味でもヤったぞ。
そう言えば雅に拗ねられそうだと思ったデイダラは、雅の隣を歩きながら何も言わなかった。
今から雅とサソリは改めて城に潜入し、今回のターゲットらを暗殺する。
デイダラは城外で爆破する準備と、逃げ出す人間の始末だ。
雅は掌から煌めく氷を放出し、白鳥を作り出した。

「二人共気を付けろよ、うん」
「しくじるんじゃねえぞ」
「必ず成功させます」

雅とデイダラは其々の鳥に跳び乗った。
サソリも雅の氷の白鳥に乗って城に向かうのだが、乗る前に雅に訊ねた。

「ヒルコが凍らねえだろうな?」
「大丈夫ですよ」

サソリは重厚なヒルコで跳び上がり、雅の後ろに乗った。
デイダラは氷にヒビが入るかと心配したが、雅の氷は丈夫だ。
白鳥は透明な翼を難なく広げた。
二匹は地表から飛び立ち、横に並んで飛行した。
目的地である城は目に見えている。
雅とデイダラは空中で微笑み合った。

「お気を付けて」
「また後でな、うん」

白鳥は速度を上げ、城へと降下した。
城の見張り番に見つかったが、デイダラの追尾タイプの起爆粘土で次々と爆破した。
サソリは雅の背中に言った。

「死ぬなよ」
「私は死にません」
「死んだら傀儡にするからな。
お前の顔と血継限界は俺たち芸術家にとって充分に魅力的だ」
「傀儡になるのは御免ですよ」

雅は苦笑した。
頼りになるデイダラとサソリのコンビがいれば、この程度の暗殺は容易だ。

「行くぞ」
「はい」

雅とサソリは白鳥の背を蹴った。



2018.8.17




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