川で氷遊び-2

結局、二人はサソリと泊まっていた宿のある国に戻ってきた。
その時とはまた別の小さな宿で部屋を取り、畳の和室に入ったところだ。

「楽しかったですね」
「途中から氷遊びになってたな…」

気分が乗った雅が、遊び半分に小川の水を凍らせたのだ。
雪合戦ならぬ氷合戦を繰り広げ、二人はとことんはしゃいだ。
デイダラは雅を捕まえられず、結局は忍服を脱がせられなかった。
結果的に二人は水と氷でびしょ濡れになり、全身が乾くまで川沿いで時間を潰した。
雅がデイダラの粘土で遊び、デイダラはそのアドバイスをしたし、時には口付け合った。

「とにかく風呂に入りたいぞ、うん」
「行きましょうか」

この宿には男女別の浴場がある。
其処でひとまず一服だ。
二人は一階まで降り、隣同士で並んでいる浴場の暖簾に手を遣った。

「逆上せるなよ」
「気を付けます」

雅はデイダラに微笑み、女湯へと入っていった。
自分が逆上せ易いのは理解しているつもりなのだが、長風呂してしまうのだ。
それは単に雅が風呂好きというのも原因の一つだが、湯船に浸かりながら何かと思考を巡らせてしまうのが大きな原因だ。
今日も何かと考えてしまいそうだ。
この後にデイダラと甘美な時間を過ごすのかもしれないと思うと、緊張して長風呂しそうだ。

―――私が…デイダラの事欲しいって知ってる癖に…。

思い返せば、あれは誘い文句でしかなかった。
デイダラに申し訳なかったと思う。

―――全然駄目じゃなさそうだぜ?
―――身体は正直だ、うん。

その通りだった。
正直、あの時はデイダラが欲しくて仕方なかった。
触れて欲しい。
自分だけを見て欲しい。
こんな欲望を覚える日が来るとは。
暫く逢えない日が来ると分かっているだけに、今夜はデイダラと触れ合いたかった。



2018.7.30




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