ぱちぱちと切り替わりながら鮮やかに光を放つ電飾が、早足で歩く私を浮き足立たせる。店の硝子に映った自分の姿に、立ち止まってどこか変なところは無いかと探し、周囲の恋人たちの視線に慌てて歩き出す。この日の為に昨夜から用意していた洋服は、いつもの制服とは違って、ひらひらと揺らして誰かに見せびらかしたいような可愛らしいものだ。
鞄から手帳を取り出して12月のページを開く。口元がふわりと綻ぶのを感じながら、赤く縁取られた今日のコマを見る。吹雪くんとデート、小さく書き込まれた後ろには自分でも恥ずかしいハートマーク。相当舞い上がってたんだなー、と苦笑混じりに思っていたら、吹雪くんとの待ち合わせ場所が見えてきた。大きなツリーの前で、その周りにはやはり幸せそうな恋人たち。深緑にちりばめられたきらびやかな電飾に照らされて笑っている。ちょっと気まずいな、なんて思いながら、ツリーの前に立って、つま先を見つめる。早く着きすぎちゃったかな。時間を確認しようと携帯を取り出すと、まるで見ていたかのようなタイミングで携帯が震えた。ちかちかと光りながら着信を知らせる携帯を開く。画面に浮かんだ吹雪くんの名前。急いで通話ボタンを押して耳に当てると、間延びした声が、携帯とそれ以外からも聞こえてきた。

「だーれだ」
「わっ!」

と同時に、背後から目を塞がれる。驚きで間抜けな声を上げてしまったことを心底後悔しながら、目に当てられた冷たい手にそっと触れる。

「吹雪くん?」

私がそう言うと、視界を覆っていた手が引っ込められた。鼓動が大きく速く打つのを感じ、胸に手を当てて振り返る。そこには待ち人、にっこり笑う吹雪くんが居た。

「待った?」
「ううん、丁度来たとこだよ」
「あは、お決まりのやり取りだねぇ」

言われてみればあまりにもありがちなやり取りで、二人で笑ってしまった。すごく幸せな気持ちでひとしきり笑ったあと、携帯をしまって、吹雪くんの横に並ぶ。

「行こうか」

そう言って差し出された吹雪くんの手を取って、指を絡めた。氷のように冷えた吹雪くんの手が少しでも温まるように。
にこにこと話しながら歩き出す吹雪くんに、今日は特別だからと、ぴたりと寄り添う。
夜空に瞬く星のように、そこら中に施された電飾が、さっきよりも綺麗に輝いて見える。ひらひらと揺れる私のお気に入りの洋服を見て、吹雪くんは可愛いね、と言ってくれた。

リーウィートート
(君が居れば、何もかも輝いて見えるの!)






091225/めぐり


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