フレデリカは、明らかにこれまでとは違う扉の前についた。
きっとここだ。
開けようとすると、鍵がかかっている。
すると中からドアが開く音と遠ざかる足音が聞こえた。
逃げるつもりか、そうはさせない。
フレデリカはマグナムでノブを撃ち抜き、蹴り開ける。
見れば奥の扉が開いたままだ。
迷うことなく後を追う。
どうやら屋上への階段らしい。
屋上に踊り出た瞬間、凄まじい風が吹き思わず腕で目を庇う。
見れば今にもヘリコプターが離陸せんとしている。
フレデリカはとっさにマグナムを二丁抜き取りヘリコプターに向けて発砲した。
一発、二発、三発、四発。
フレデリカはそれだけ撃つとマグナムをしまう。
ヘリコプターはゆらゆらと不安定に飛んだ後、落ちていった。
一瞬見えたのは、頭を撃ち抜かれたパイロットと幹部とおぼしき男三人。
フレデリカの弾は、一発たりとも外れてはいなかった。
フレデリカはくるりと踵を返し、一言。
フ「…任務、完了」
その直後、激しい爆発が辺りの空気を震わせた。
*****
燿「派手にやったねぇ、天使サマ?」
帰り道、上機嫌な燿が冷やかすように言う。
フ「爆発させたかったわけじゃない。ヘリコプターが落ちたから」
燿「わかってるって!いやー、久々のこういう任務だよ。でも私的にはもうちょい暴れたかったけどねー…」
フ「十分大暴れだったと思うけど?」
燿「なに言ってんの!オイシイとこは天使サマがみーんなやっちゃったじゃん!ま、楽しかったしいいんだけど」
フ「よく言う…。最終的に電気ショックで社員ほぼ全員気絶させてたくせに…」
燿「ついうっかり監視カメラもショートさせちゃってさー、データ吹っ飛ばしちゃった!」
フ「…はぁ」
軽口を叩く燿に、軽くため息をつくフレデリカ。
それを横目で見ながら、燿がわざとらしくポケットを漁り始めた。
燿「あれぇー?こんなところにUSBが」
フ「は?」
燿「あ、これひょっとしてさっき偶然タマタマ見つけた密輸のデータかも!きゃー、持ってきちゃったー」
フ「…本気?」
燿「もち。結構簡単に見つかったよ。依頼人辺りに売り付けたら良い額付くんじゃないかな」
ぴん、と放り投げられたUSBをフレデリカはパシッと受け取ると、本当に金亡者だな、と心の中で軽く笑った。
フ「今日はありがとう。燿のおかげでスムーズに仕事ができた」
燿「こちらこそ、久々のこういう任務で楽しかったよ。また組めたらいいね、天使サマ?」
フ「…そうね、いつか」
パチンと軽くハイタッチをした二人は、帰路へとつくのだった。
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