7

フレデリカは、明らかにこれまでとは違う扉の前についた。

きっとここだ。

開けようとすると、鍵がかかっている。

すると中からドアが開く音と遠ざかる足音が聞こえた。

逃げるつもりか、そうはさせない。

フレデリカはマグナムでノブを撃ち抜き、蹴り開ける。

見れば奥の扉が開いたままだ。

迷うことなく後を追う。

どうやら屋上への階段らしい。

屋上に踊り出た瞬間、凄まじい風が吹き思わず腕で目を庇う。

見れば今にもヘリコプターが離陸せんとしている。

フレデリカはとっさにマグナムを二丁抜き取りヘリコプターに向けて発砲した。

一発、二発、三発、四発。

フレデリカはそれだけ撃つとマグナムをしまう。

ヘリコプターはゆらゆらと不安定に飛んだ後、落ちていった。

一瞬見えたのは、頭を撃ち抜かれたパイロットと幹部とおぼしき男三人。

フレデリカの弾は、一発たりとも外れてはいなかった。

フレデリカはくるりと踵を返し、一言。

フ「…任務、完了」

その直後、激しい爆発が辺りの空気を震わせた。


*****

燿「派手にやったねぇ、天使サマ?」

帰り道、上機嫌な燿が冷やかすように言う。

フ「爆発させたかったわけじゃない。ヘリコプターが落ちたから」

燿「わかってるって!いやー、久々のこういう任務だよ。でも私的にはもうちょい暴れたかったけどねー…」

フ「十分大暴れだったと思うけど?」

燿「なに言ってんの!オイシイとこは天使サマがみーんなやっちゃったじゃん!ま、楽しかったしいいんだけど」

フ「よく言う…。最終的に電気ショックで社員ほぼ全員気絶させてたくせに…」

燿「ついうっかり監視カメラもショートさせちゃってさー、データ吹っ飛ばしちゃった!」

フ「…はぁ」

軽口を叩く燿に、軽くため息をつくフレデリカ。

それを横目で見ながら、燿がわざとらしくポケットを漁り始めた。

燿「あれぇー?こんなところにUSBが」

フ「は?」

燿「あ、これひょっとしてさっき偶然タマタマ見つけた密輸のデータかも!きゃー、持ってきちゃったー」

フ「…本気?」

燿「もち。結構簡単に見つかったよ。依頼人辺りに売り付けたら良い額付くんじゃないかな」

ぴん、と放り投げられたUSBをフレデリカはパシッと受け取ると、本当に金亡者だな、と心の中で軽く笑った。

フ「今日はありがとう。燿のおかげでスムーズに仕事ができた」

燿「こちらこそ、久々のこういう任務で楽しかったよ。また組めたらいいね、天使サマ?」

フ「…そうね、いつか」

パチンと軽くハイタッチをした二人は、帰路へとつくのだった。



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