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燿「でっ…か…」

本社だと言うビルの前について、燿がまず放った言葉はそれだった。

敷地が広い。

敷地だけでいうなら、某夢の国と良い勝負だろう。

何ヘクタールあるんだよ…。

つーかいくらしたんだよ土地…。

この土地の値段を想像して、金亡者は身震いした。

フ「…」

フレデリカは、これからの作戦について考えているらしい。

邪魔してやろうとも思ったが、自分にも関係あることだしなにより殺されたりしては敵わないので、大人しく待っていることにした。

フ「燿」

しばらく待つと、フレデリカの思案が終わったようで、こちらへやってきた。

燿「んー?良い案浮かんだ?」

フ「組織を壊滅させるなら、まず狙うのは頭」

燿「そうだね。確かに」

フ「だけど、この広さから少人数の中心を探すのは面倒…。だから」

燿「…?」

フ「…陽動作戦でおびき出す」

燿「ヒューッ!よりによって陽動作戦かー。またまたハードなの選んだねぇ」

燿の反応にフレデリカは少し眉をひそめる。

フ「嫌なら…」

燿「嫌じゃないよ」

フレデリカを遮って燿は笑う。

燿「だってワクワクするじゃん、ねぇ?」

フ「ワクワクも、なにも…。ただの仕事」

燿「私は喜んで乗るよ、その作戦。で、陽はなにすればいいのかな?」

フ「おそらく、あの敷地内は監視とセンサーの嵐。一歩踏み込めば…見つかる」

燿「ほぉー?」

フ「それを逆に利用するの」

燿「…来るヤツ来るヤツブッ飛ばせばいいってこと?」

燿が言うと、フレデリカは薄く笑って頷いた。

燿「あははっ!楽しそうじゃん。陽動は任せてよ。私こう見えてそこそこ腕たつんだから」

フ「…任せた」

燿「いってらーっしゃい、天使サマ」

フ「…?なにそれ」

燿「だって、死の天使でしょ?だから天使サマ」

フ「…そう。…五分後に作戦開始、よろしくね」

フレデリカはそういうと、人間とは思えない速さで走りだし姿を消した。

私より遅いのは確かだけど、人間であのスピードって化け物か。

私はコンピューターでタイマーをセットし、スタートさせる。

刻々と近付く作戦開始を待ちながら、胸を踊らせていた。


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