――ずっとずっと『異世界トリップ』がしてみたかった――





 夢小説を読む度に、私の大好きなマンガの世界に入ってみたかった。
 そんなのはただの夢。
 実際には起こりえない。

 そんなのは分かっている。


 それでも、何かのきっかけで、トリップできたらいいのになぁ……


 そう思っていた。





 年が明けてから、初詣にまだ行っていなかった。

 そんなことよりネットサーフィン、読書、ゲーム。
 アニメ化してから色々とゲームも出ているから、頑張ってクリアしようと色々と手を出した。
 そのためだけにゲームのハードを買ったりして。


「はぁぁ、飽きたなぁ」

 少しレベル上げに疲れてDSを放り投げた。
 先程しっかりセーブをしたから大丈夫だ。
 少し家から出ようかなぁと思い立った彼女は、家を出た直後に神社に行こう、と思ったのだ。

 そういえば初詣に行っていない。
 おみくじを引いてきて、それから絵馬にトリップがしたいとでも書いてみるか……

 そんな痛いことを思いながら神社へと足を進めた。





 鳥居を越えて、賽銭箱に小銭を投げた。
 箱の中に吸い込まれていくのを見てから鐘を軽く鳴らし、二拝二拍手一拝。
 確かこれで大丈夫だったよなぁ? と考えながらお願い事をする。

 お願いするのは、大好きな漫画の世界に行けますように。

 どうせ無理だと分かっているが、それでもお願い事として言うならこれだろう。
 社務所に向かい、おみくじと絵馬を購入した。
 一応まだ新年が明けてからそんなに経っていないので、絵馬を書くための台も用意してあるらしい。
 そちらへと移動して、ペンを手に取った。

 ――願い事が叶いますように。

 書いたのはこれだけである。
 一応これでも場は弁えている。
 今時のヲタクがどうした、などと言われる昨今、これくらいは配慮をしなければならないだろう。
 絵馬を下げようと伸ばした手の斜め上に、イラストが描かれた絵馬が下げられてるのを見て、自重しろ、と一つ呟いて場所を変えた。

 下げた後、そうだ、おみくじ……と縦に開いて『吉』の文字を見た。
 そんなもんだよねー、と続きを読もうとしたが、その前に視界の端に絵馬が映った。


 ここは一つお願いします、と手を合わせて目を閉じてお願いをした。


 その直後、少女はその場から消え失せていた。

 ――先程開いたおみくじがハラリと舞ったのを残して。


 おみくじには、『願い事 叶うが不幸になる』『健康 闇が迫っている』などと書かれていた。









 目を開けたら目眩がした。

 気付いたら神社の境内にいるのは間違いないのに、先程いた場所とは全く違う場所。
 これは何だ? と慌てながら移動する。

 誰か!!?
 誰かいないの?

 そんな焦りと共にパタパタと走り、見えた神社に書かれた名前は――


『並盛神社』


 の一言。

 念願の異世界トリップ!?

 それは嬉しいが、ここからどうすれば……と困っていた彼女に声をかけてきたのはリボーン。
 ここである人物と会う約束をしていたと言った彼に事情を軽く説明すれば、行く所が無いのならば家に来ればいいとあっさり承諾。
 沢田家に招かれて、お世話になることがあっさりと決まっていった。











「――さん?」

 ちゃんと一緒に食事をしていたから食べていなかったわけでも何でもない。
 何かの病気だった様子も出会った時は無かった。

 なのにあっという間に衰弱していって、そして一週間も経たない内に、ここで…………




 会いたかったの、と言った彼女。

 ここに来れて良かった、と言っていた彼女。


 晴れやかな笑顔をしていた――




これで本当に幸せでしたか?


















 あまりにも急な死と、身元が分からず遺体の引き取り手が無かったために、リボーンはボンゴレで調べてみる、と言ってイタリアへと運んでいった。


 しばらく調べた結論として、体内で死ぬ気の炎が一欠片も検出されず、その状態で生きていられたことの方が奇跡だったのだ、と言われた。
 人間は生きている以上、死ぬ気の炎である自身のエネルギーを燃やして生命を維持している。

 ――なのに、彼女は全く無かった。

 これはどういうことなのだ? と組織を調べ続けたが、何一つ他の部分は変わりはなく、全ては謎に包まれたまま闇へと消え去った。



『願い事 叶うが不幸になる』
『健康 闇が迫っている』

おみくじで出た言葉のままに……











という感じになりましたが、名前無しだけど、夢的か、これ。
リボーンの世界では、死ぬ気の炎を持ってない人は誰もいなくて、異世界トリップしてきた人は持っていない。
エネルギー変換できないから衰弱して死んでしまう。

そんなネタっていうか、解釈をしてみた話をサラッと書いてみたかったのです。
あまり長くしたら重いと思ったから、名前は付けず、間もバッサリ切りました。

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