自分と同じように異世界トリップをした、と告げた彼女に驚くばかりで返事を返せなかった彩耶だが、紗奈の『かてきょーヒットマン』との呟きに、『リボーン』と口を突いて出た単語。
 それは互いが同じようにマンガ・アニメが存在する場所からその世界に来てしまったという事実を肯定していた。

「頑張って関わり持たないように気をつけよう! って私は思ったんだけど、彩耶ちゃんはどう思う?」

 そう言われて彩耶は悩んだ。
 ごくごく平凡な一般人がマフィアに関わるのは良いことでは無いだろう。

「変に近付いたら死人に口無し、なんていう結末迎えそうですし……」

 そう言った彩耶にホッとした紗奈は笑って互いに関わらないように頑張ろう! と約束しあった。




 関わらないと決めてからの生活は、ほぼ平穏であった。
 同じクラスである以上、多少なりとも関わりを持たなければいけないのは仕方のないこと。

「沢田君、獄寺君、プリントまだ提出してなかったよね?」
「ぁ、ありがとう、上田さん」
「当番だから」
「でも、声をかけてくれて助かったから」

 ほら獄寺君もプリント出して! 終わってるはずでしょう?
 笑顔の綱吉にはかなわず、言われるがままにプリントを手渡す。

「ご協力感謝します」

 今後は遅れないようにしてね、と付け加えれば獄寺の心象が悪化する。
 文句を言いかけた獄寺を止めてプリントを渡した綱吉に素っ気なく返し、プリントを受け取る。
 そんな程度の関わりは持った程度である。




 そんな生活を続けていたある日、彩耶は学校帰りに会ってしまったのだ。
 避けられない運命なのか、それとも、運が悪かっただけなのかは分からないが……

 運が悪かっただけで済ませたく無いけれど、でも放っておけなかったのも事実であるが故に、仕方ないのだろうが……

 彩耶は、とある人物に関わることになってしまったのだった。



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