眠気に耐えながら受けていた授業中。
斜め前辺りに座った女の子が、コックリ舟を漕いでいた。
そりゃあ眠くもなるよねぇ、とどこかにぶつかったりしないかハラハラしながら見ていれば、一際大きくガクンッと揺れたことに眼が覚めたのか、慌てて首を振っている。
それくらいで眠気が取れるといいんだけど……
一つ欠伸をして、その子を観察していれば、何かに驚いたのか硬直している。
それからあちこち教室中を見回している。
何かあったんだろうか?
私には見えない不思議な物があるのかもしれないし、何かを探しているのかもしれない。
そういえば、私の体は若返ってたらしいよ。
当時の体重に戻っててくれていたことを喜び、食事を食べ過ぎたり間食しすぎないように心がけている。
流石に身長は当時から成長全くしてなかったから目線変わらないし問題は全く無かった。
話がズレた。
私には見えない、で思い出したのだけれど、若い世代にしか聞こえないモスキート音ってあるじゃないですか。
アレみたいな感じで、彼女には見えてる何かがあるのかなぁと思っただけですよ。
――と、彼女の視線は一点を見つめて止まった。
止まったのは沢田綱吉の元。
それから視線が動くと同時に止まる場所を確認していけば、獄寺隼人・山本武・笹川京子・黒川花……ボンゴレ関係者へと止まっていくのだ。
これは、もしや……
いやいや、でも、まさか……
再び沢田綱吉の元に視線を固定したかと思えば、授業が終わりを告げて机に突っ伏してしまった。
揺れた肩の動きが、泣いているように見えて、私の仮定を肯定するかのように揺らいでいる背中。
「机に伏してどうしたの? 具合悪いの?」
尋ねる友達に返事をしているその様子は、今にも崩れ落ちそうな恐怖のようなものに捕らわれている。
保健室へと向かう彼女は、一瞬沢田綱吉へと視線を向けて表情を歪めた。
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