「ママン」
「どうしたの? ナギサ」
「それ楽しそう」
あぁ、なんでイタリアだとママン一択なんだろうな?
これ、ある意味恥ずかしくねぇ?
母さんとか、おふくろとか、いくらでも言い方ある日本語が恋しいよな。
ま、オレに父親が存在しないことが救いだよ。
パッ、……パパンなんて口にしたくないよ、オレ!
ってか、母はどこの誰の子を産んだんだろうな?
変なお家騒動に巻き込まれなければいいんだが……
そうそう、母の職業だが、
《暗殺者》
なんだそうな。
どうやって殺しをしているのかは、家に置いていかれるから知らない。
白くて綺麗なドレスとか着て、銃を持って出掛ける。
白い服が綺麗なまま、ということは狙撃でもしているんだろうか?
たまに違うの着て帰ってくるから、違うかも。
いやいや、今話すべきことはこれじゃない。
オレが興味を示した物のことだ。
いわゆる拳銃だ。
目の前で手入れしているし、興味が沸くのは日本の男子高校生ならわかってくれると思う。
そりゃあ、怖いものだよ?
それでも、さ……
ガンアクションとかのゲームが巷に溢れ返っているのは、カッコイイって理由もあると思うんだ!
まだ三歳くらいだし、撃ったら確実に肩が抜けるだろうけどな。
でも、こんなに沢山転がってたら、触りたい欲求に駆られるんだよ!
ってか、オレっていう前世の記憶持ちじゃなかったらとっくに弄ってるってこれ!
オレは、さ。
一般的な常識として、取り扱いも知らないのに弄ったら。
銃なんて暴発してもおかしくない。
ってわかってたから、さ。
足元に転がってて、ビクビクしながらテーブルの上にソッと置いたことくらいしか無いさ。
でも、普通の子供だったら弄り倒すって。
母親が触ってるものに興味持って、真似するだろ、普通。
食生活だって、親が食べるものを食べるらしいからな。
でも、今くらい大きくなったなら、取り扱い説明くらい……
「じゃ、隣で撃ってみようか!」
いやいやいや!!
ちょっと待ってくれ、マジで。
まだこんな子供の体格だし、力も弱いし、あっちもこっちも柔いのに、何ー!?
「ん〜、まだ子供だし、反動が弱いここらあたり……」
マジ勘弁して!
それ、こないだ試し撃ちで母の肩が凄いガクンッてしてたからー!
「セツナ、ナギサに何を持たせている?」
「あ、マスター。ナギサが興味持ってくれたから……」
「三歳児に撃たせるなー!!」
サンキュー、マスター。
マジ命の恩人だわ。
撃つ前に止めてくれたから、関節痛めずに済んだよ。
脱臼って癖になるらしいからな……ホッとした。
暴発防止の取り扱いだけ教えてもらって満足した。
- 4 -
[*前] | [次#]
NOVELへ戻るコメント