「よぉ。お前が沢田綱吉だな」
チャイムを鳴らしても反応が無かった沢田家へとスルリと入って、声がする二階へと上ったナギサは扉を開いてすぐにそう言った。
「ボク…どこの子?」
彼の母親である奈々の問いに、ニヤリと笑って。
「オレはナギサ。家庭教師だ」
そう言い切った。
ナギサを馬鹿にするように笑った綱吉を蹴り倒した後、起きるまで待つことにした。
その間に、住み込みという契約に承諾を貰っていたことの再確認と、迷惑をかけるがよろしく頼むと奈々に頭を下げた。
いくら父親関係から連絡が来ていたとはいえ、こんな赤ん坊が家庭教師などと言われてあっさり納得できるわけが無い。
外見だけこうなのだと説明するわけにもいかないし、後はマンガ・アニメと同様に心が広いことを願うしか……
「えぇ、お願いするわね」
あっさり受け入れるなよ!!
もう、逆に心配になるぞ、奈々ママン!
こんなんでよく今まで無事だったなぁ……いや、無事じゃないから引ったくりにマンガで会ってんのか。
「ん………」
お、起きるか? じゃ、さっさとマフィアにするための家庭教師だと説明しておくか。
今現在のオレのペットはレオン、緑色の体色をしたカメレオンだ。
ただのカメレオンじゃないらしいぜ、ボンゴレ九代目から直々に貰ったペットだしな。
というか、これで死ぬ気弾ってのが作れるらしい。
その死ぬ気弾で沢田綱吉を打ちまくれ、といったような指示も来ている。
まぁ、これで本当に死ぬかもしれないが、怖いが仕方ないよな。
オレの責任じゃねぇ、とか思って、死ぬ気弾で綱吉を撃つことにした。
直前に後悔していたことを成し遂げるために復活する、と書かれてた通りに笹川京子へと告白しに走っていったパンツ一丁の少年を不憫に思った。
いくらなんでも、片思いの相手にパンツ一丁で告白はキッツイだろ。
少なくともオレなら嫌である。
あまりにも不憫だったので、着替えの服をオレが持ってきたようには見えないように用意しておいてやった。
剣道部の主将との戦いなんていう場面を無理矢理乗り越えさせ、沢田綱吉のボンゴレ10代目への道はこうして始まった。
住み込みで立派なマフィアにするように、なんていう指令もあるが、オレ自身は楽しい日本での生活を再び送れるようになったことだけでも充分嬉しいんだ。
楽しい生活をし続けられるよう、むしろ10代目になるのは遅くてもいいんだぜ、沢田綱吉?
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