「次はこれを着てちょうだい、これ!!」

 母さん、どこで入手してきたんだ、その服……
 ラルが引いている。
 でも、こんな温泉宿で、どっから買ってきたんだ、そんなゴスロリ服やらワンピースやら水着やら……

 こんな温泉だし、やったとしても浴衣に着替えましょう!! くらいだと思ってたオレは甘かったようだな。

「コロネロ……?」

 ポォ〜ッとラルを見つめたまま固まっている彼に気付いた。
 かけた声にも全く反応を返さないし、これはダメだ。
 アルコバレーノに選ばれたことによって何かあるらしい、って危険を察知してラルを助けに来たんだしな……元々恋愛感情持ってて、そのラルが色んな服着せられてれば、そりゃあこうなるか。
 あまり洋服バリエーション多いとは思えないし、洋服少なそうだしな、ラル。
 こんなゴスロリとか、着るとは思えないもんな……

 邪魔しちゃ悪いだろう。

 魅入ってる彼の邪魔も、楽しみまくっている母さんの邪魔も、な。

「ぁ、お膳、こっちに運んでください」

 入室してきた仲居さんに頼んで並べてもらう。

「ナギサ!! 助けろ!!」

 無理だって。
 頑張れ、って言ったじゃん。

「こ、ころねろ!!」

 涙目で恋愛感情持たれてる相手見るんじゃないって。
 赤ん坊になっちゃってるから何も起きないだろうけどさ、考えてやれよ。
 可哀相じゃん、コロネロ。
 いや、まぁ、役得だろう。

「ラルちゃん、今度はこっちで髪型も変えましょうね♪」
「うわぁぁぁぁぁ」

 先に食ってていいかなぁ…………



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