「ナギサ!!」

 すげぇ、日本まで来たよ……

「よぉ、ラル・ミルチ」

 一番最初に復活したの、彼女か。
 あぁ、女性の方が強いからな、精神的に。

「何をしてる! というか、誰だ!?」

 すまんね、流石にビックリするか。
 貸し切り風呂でぬいぐるみか何かのように抱きしめられたまま入浴してれば、な。

「ママン、客だから離してくれ」
「仕方ないわね」
「ラル・ミルチ、場所を変えるぞ」

 それ、回収しろよ。
 連れてこられたらしい放心したままのコロネロを示して自分は着替えに脱衣所へ向かう。
 確か休憩所が傍にあったはずだよな。
 そこでいっか。

 慌ててついてくる彼女たちを連れて人気の無い休憩所に座った。

「んで? ここまでよく来たな」
「ナギサ、お前何を知っている?」
「単刀直入にも程があるな」

 しかし、何を言いたいのかわからない。

「母親への家族サービス中だから、あまり放置もできないしな」
「あれ、ナギサの母親なのか?」

 若すぎないか? と呟くラルに苦笑を返す。

「間違いなくアレから産まれたぞ」

 言いたくなる気持ちもわかるけどな。
 特に今、気持ちが若返ったとか言ってテンション高いし。

「いや、それは置いておく。ナギサ」
「なんだ?」

 何かを知ってるって、何をだ?

「アルコバレーノのことだ!」
「………つまり、赤ん坊の姿になることを知っていたんじゃないか? ってことか?」
「そうだ!」
「と言われてもな〜……」

 一応知ってはいたが、多分知らなくても大して変わりは無かったぞ。

「ママンに振り回されてる内に諦めが肝心だと知ってるだけだからな」

 アニメのシーンだと気付いた時もすぐに諦めたもんな、オレ。
 リボーンの立場になっていることに比べたら、赤ん坊になるくらい…………ごめん、これはこれで辛いな。
 でも、まだマシだというのは変わらないよな。


 ガラッ!

「ナギサ、その子たちも泊まるでしょう?」

 料理お願いしてきたから、ちゃんとお部屋に連れてきてね!

「待っているからね!」

 やらかすと思ってた!
 先に言っておかなかったオレが悪かったんだろうか……
 いや、あれは母さんであるが故に回避不能だよな……

「産まれてすぐから、あんな母親に振り回され続けていれば、な……」

 は、はは…と乾いた笑いが漏れた。

「そ、そうなのか……」

 そうなんですよ……
 ってことで、母さんへのいけにえになってくれ、ラル。
 母さん、女の子が欲しかったって言ってたから、楽しみそうだな〜、と思う。
 ま、頑張れ。



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