さて、赤ん坊になった。

 纏めて呪いを受けたようだ。
 強い光の直後、気付いたらなっていた。
 痛みが無くて良かったな。
 ついでに一番喜ばしいことは、ただ小さくなったかのように、身体を動かすことに支障が無いことだ。
 軽く手足を動かして、これなら戦闘も可能そうだ、と確認した。
 それを確認すれば後は問題無いだろう、黄色いおしゃぶりを揺らして周りを見た。


 パニックを起こしている姿を見ながら、ルーチェに近付く。

「子供は大丈夫か?」
「――えぇ」

 まさか声をかけられるとは思わなかったのか、驚いた表情をして答えられた。
 あぁ、赤ん坊になるなんて知らなかったら、他人を気遣うなんてできるわけ無いか。
 でも心配にもなるだろ、流石に。

「ならいいが……丈夫な子を産めよ」

 多分、今後何度も会えるとは思えない、と考えつつ、力があるが故に短命だと言う彼女へ身体を大事にしてほしいと伝える。

「では、またな」

 機会があれば会おう、と今は顔を合わせていたくないだろう彼らの心情を推し量って別れを告げる。
 未だ混乱中の彼らが落ち着いた頃に連絡が必要ならば取ろう、と平然と去った。


 後に、平静を取り戻した後の彼らが、ナギサがあっさりと受け入れた事実に何かを知っていたからこそだったのではないか? などと疑惑を覚え、襲撃をされるなどの事態に陥ったのはナギサの対応が悪かったからかもしれない。
 ただし、ナギサはそんなことは露とも知らず、家へと帰宅していた。



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