夜行


夜も更けた街はずれ
まばらに走り抜ける車
見通しの良い交差点の
歩道には私がひとり

拐うことも容易く
転んでもすり抜ける風と
心のしみを誤魔化す
街灯だけが拠り所

むき出しているのは
唯一私だけで
硬い殻が巻き上げる空気が
ひときわ冷たく感じた

呼吸をして
手に触れなくてもいい
傍にいなくてもいい
その震えを耳から分けて欲しい

呼吸をして
手に触れなくてもいい
冷え固まった今に
動けるだけの反動が欲しくて

[ 3/137 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]

↓サーバー広告↓
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -