夜行
夜も更けた街はずれ
まばらに走り抜ける車
見通しの良い交差点の
歩道には私がひとり
拐うことも容易く
転んでもすり抜ける風と
心のしみを誤魔化す
街灯だけが拠り所
むき出しているのは
唯一私だけで
硬い殻が巻き上げる空気が
ひときわ冷たく感じた
呼吸をして
手に触れなくてもいい
傍にいなくてもいい
その震えを耳から分けて欲しい
呼吸をして
手に触れなくてもいい
冷え固まった今に
動けるだけの反動が欲しくて
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